「上司が評価してくれない」「やりがいが見出せない」「気持ちが安らがない」……。2500年前の教えをもとに気鋭の僧侶が古くて新しい悩みに答える。

「他者の利益」と「自分の損」は無関係

●同期の中で、自分だけ出世が遅れているのが納得いかない。
●育児で時短勤務の同僚を見ると、不公平だと思ってしまう。
●やる気のなさを隠しもしない同僚がいて、一緒に働くのが嫌になる。

出世した同期や時短勤務の同僚に対する苛立ちは、「嫉妬心」から起こるもの。嫉妬という感情は誰もが身に覚えのあるものでしょうが、仏教的に見た「嫉妬」の定義とは「他者の快感ないし快適さに対する怒り」です。

そもそも自己愛が強いナルシシストである人間は、他人が自分よりも注目されていたり、自分よりも少しでもいい思いをしていたりするのが気に入りません。他人が利益を挙げているのを見るとくやしくなり、自分がその利益を挙げられるはずだったのにと思ってしまう。つまり「他者の利益」は「自分の損」というわけですが、よくよく考えてみますと、本来この2つに関係性はありません。