中国人も驚く安さ:半値以下にしなければ値段で勝負できない
「値段で勝負しても勝ち目はない」と言った先から矛盾する例を出してしまって恐縮だが、イタリアンレストランチェーンのサイゼリヤ(薩莉亜)は、中国人も驚く安さで成功を収めている会社だ。
サイゼリヤは現在、上海に40店舗以上を展開する人気店(北京、広州にも進出)だが、中国進出当初は値段の高さが祟ってほとんど客が入らなかった。そこでサイゼリヤは値段を下げる作戦に出るわけだが、その下げ方が半端ではなかった。一気に半値以下にしてしまったのである。
筆者が3年前に上海のサイゼリヤで食べたパスタは、たしか9元であった。中国の庶民が昼に食べる弁当が10~12元ぐらいだから、それなりに綺麗なお店でパスタを食べて9元は、中国庶民の感覚から見てもかなり安いと言っていい。
1元は、使い勝手から感覚的に言うなら50円ぐらいの価値があるから(上海のタクシーの初乗りが12元)、9元は日本ならば450円ぐらいの感覚。日本国内のサイゼリヤのパスタは400円前後だから、要するに中国のサイゼリヤは、中国人にとっても日本国内のサイゼリヤと同じ程度に安いということも言えるのだ。
中国に進出してくる日本の外食産業の多くは、「日本の値段の3割安ぐらいなら中国でも通用するのではないか」と考えて出店してくるが、その程度の安さではよほど特色がない限り生き残れないだろう。
サイゼリヤの勝因は、中国の庶民に安いと感じてもらえるレベルまでドラスティックに値段を下げたことにある。大胆な値下げ以降、サイゼリヤの店頭から行列が消えたことはない。