旧統一教会が東京高裁に即時抗告する前からしていること

東京地方裁判所は3月25日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して解散命令を下した。法令違反による解散命令は戦後3例目。今後、高裁や最高裁での審理が続く可能性は残るものの(教団側は4月7日、「国家による明らかな信教の自由の侵害だ」と批判し、東京高裁に即時抗告)、教団は法人格を失う可能性が高い。それにより法人税や固定資産税など、税制上の優遇措置が撤廃される。だが、新たな問題が生じる危険性も秘めている。「ダミー教団」への財産の移し替え、宗教法人格の再取得への動きなどだ。

田中富広会長 16年前に財産移転先決める
写真=共同通信社
記者会見する旧統一教会の田中富広会長=2025年3月27日、東京都千代田区

まず、旧統一教会問題の流れを整理しよう。統一教会は1954年に韓国で文鮮明によって設立されたキリスト教系新宗教である。日本では1964年に宗教法人として認可された。

1970年代に入り、信者らにたいして「先祖からの因縁」などと脅し、高額な壺や印鑑などを売る霊感商法問題が社会問題化する。法外な金額の献金を強要されたなどの被害相談が相次いだ。

強引かつ巧妙な勧誘方法にも批判が集まった。教団を母体とする「原理研究会」「国際勝共連合」などの関連組織が大学などに入り込み、信者獲得を拡大させていった。国際勝共連合の発起人には岸信介元首相や、笹川良一氏、児玉誉士夫氏ら大物が名を連ね、政治的影響力も増していった。教団と自民党との関係も、この頃から強まっていった。

1995年には、一連のオウム真理教事件が勃発。カルト宗教への批判が巻き起こる。旧統一教会に関しても多数のカップルが一同に結婚する「合同結婚式」などがワイドショーなどで取り上げられた。

1996年には旧統一教会の教団名を「世界平和統一家庭連合」に変更(認証は2015年)。悪化する教団のイメージを刷新するための「目くらまし」との批判も起きた。