【田原】マザーハウスはネパールにも進出していますね。ネパールではジュートじゃなくて、何に注目したのですか。

【山口】カシミヤです。でも、カシミヤとして売られているものを調べてみたら、アクリルやポリエステルでした。みんなそうやって観光客を騙している。カシミヤ自体もそんなにとれなくて、中国やインドから輸入して染めているだけでした。

【田原】それじゃ原料としても使えないんじゃないの?

【山口】はい。だから手紡ぎで糸をつくるところからやっています。ネパールはインフラも整っていなくて、いまも1日19時間は停電。電気に頼っていては何もできないので、太陽が昇るとともに糸を紡いで、手織りでストールをつくっています。

【田原】生地にした後はどうするの?

【山口】カトマンズで最終製品にして、日本や台湾で販売します。そのあたりはバングラデシュと同じです。

グラミン銀行とはターゲットが違う

【田原】バングラデシュといえば、ノーベル賞をもらったグラミン銀行のムハマド・ユヌスが有名です。グラミン銀行はBOP(ボトム・オブ・ピラミッド)と呼ばれる層にお金を貸して自立を促している。山口さんはグラミンと一緒にやらないのですか。

【山口】グラミン銀行がアプローチしてるのは最貧層で、しかも女性にフォーカスしています。私たちがアプローチしているのは中流階級。私はまず中流階級がいかに自分の手で仕事をしていくかが大事だと思っているので、そこが少し違います。