急激な支出引き締めでTwitterは破壊された
迅速と捉えるか拙速と見るかで、評価は大きく変わるだろう。過去の大胆な改革は、成果につながったか。米経済誌のフォーブスが、Twitter買収後の大規模なリストラとその影響について検証している。
マスク氏は2022年10月、440億ドル(現在のレートで約6兆7000億円)でTwitterを買収後、わずか6カ月で従業員7500人のうち6000人を削減。「極めてハードコア」な企業文化への転換を掲げ、社員数を1500人まで絞り込んだ。
この急激な人員削減は、企業業績に深刻な打撃を与えた。Xの広告収入は2023年に25億ドル(約3800億円)まで落ち込み、買収前の2021年と比べて45%以上も減少した。世界最大級の投資運用会社フィデリティは2023年9月、Xの企業価値を90億ドル(約1兆4000億円)と算定。マスク氏が支払った買収額の5分の1という低い水準だった。
大規模リストラは労使関係も悪化させている。約束された退職金の未払いを巡り、2000件を超える仲裁申し立てが行われたほか、複数の訴訟が提起された。一部は現在も係争中だ。
ただし2024年に入り、Xの業績は好転の兆しを見せている。フィデリティは2023年12月、企業価値の評価を130億ドル(約2兆円)に引き上げた。アマゾンなど主要広告主も広告出稿を再開。フォーブスによると、2024年の調整後収益は12億ドル(約1830億円)まで回復し、2021年の14億ドル(約2135億円)に迫る水準に回復しているという。
とはいえ、買収前の収益額には届いておらず、企業価値評価では元の約3分の1に留まる状態だ。
未経験の19歳エンジニアを登用…急速すぎる大改革
人々の憩いの交流の場であったTwitterを永遠に変えてしまったマスク氏は、米政府にも深刻な打撃を与えてゆくのか。大胆な施策が止まらない。
米ABCニュースによると、DOGEは2025年2月10日までに、少なくとも15の連邦機関のシステムへのアクセス権を取得。データシステムの点検や多様性プログラムの廃止など、大胆な改革を次々と実行している。
教育省では独立研究契約89件を打ち切り、総額9億ドル(約1370億円)の予算を削減。アメリカの対外援助を担う国際開発庁(USAID)では世界各地の人道支援活動を全面停止し、ウェブサイトも突如として閉鎖した。さらに、金融取引における消費者保護を担ってきた消費者金融保護局(CFPB)でも、全職員への業務停止命令とワシントン事務所の閉鎖に踏み切った。