薬学部、獣医学部、歯科大にも合格

最小限の労力で満足な学歴を得るために、えぐざま氏が常に根底においている考え方がある。

「それは、“ボトムを決める”ということです。受験生の多くは、『早慶に行きたい』『受からなかったらMARCHでいいや』と上から順に降ろしていく思考回路になりがちです。しかしそうなると、大風呂敷を広げすぎるため、さまざまな科目や応用問題を勉強せねばならず、効率的ではありません。むしろ“ボトム”を決めて、『この大学なら受かるから、似た科目で受かりそうなもっと高い大学はどこかな』と探すべきだと思うんです」

受験オタクを自負するえぐざま氏は、四年制大学のみならず、これまで「まったく興味はない」と語る医歯薬系の大学からも合格を勝ち取ってきた。

「2022年度の神奈川歯科大学合格を皮切りに、千葉科学大学薬学部(2023年度)に受かると、2024年度には東海大学医学部看護学科、北里大学獣医学部に受かりました。ここに同年に合格した順天堂大学の文系学部を加えて、『順天堂・北里・東海大医学部に受かりました』みたいな遊びをやっていましたね。多くの人が医学部の中でも名門である『順天堂大学医学部に合格した』と錯覚するというギャグです」

28年間の受験費用の総額

これだけ広域にわたって大学受験を繰り返せば、さぞかし受験費用や教科書・参考書代だけでもかなりの金額になったのではないか。だが、えぐざま氏の答えは意外なものだった。

「受験校の数のわりには、費用が抑えられているのではないかと思っています。具体的に振り返りましょうか。

まず1浪目までは、小学校〜高校までが公立なので、ほとんど教育費はかかっていません。また、田舎に住んでいたこともあり、塾がありませんでしたので塾代もゼロ円です。

1浪目は自宅浪人を選択したので、ゼロ円です。受験費用と参考書数冊を購入しているので、全部で50万円程度でしょうか。これは親が負担してくれました。

2浪目から24浪目までは、毎年1~2校を受験しましたから、受験料3万5000円×校数分くらいの費用で抑えられています。トータルで100万円程度だと思います。

25浪目以降は、ほぼ関東にある大学を受験したものの、北海道大学や静岡大学なども受験しています。手元の記録をもとに計算したところ、受験料57万2000円+交通費くらいでした。これのほか、家庭教師費用として10万円、参考書代5万円がかかっています。

26浪目についても、受験料40万5000円+交通費の枠に収まっています。この年は京都大学や名古屋大学も受験しました。このほか、家庭教師費用として8万円、参考書代3万円がかかっています。

27浪目には受験料76万5000円+交通費がかかっています。この年も京都大学を受験しています。このほか、家庭教師費用として10万円、参考書代3万円がかかっています。

ここまでの総計で、交通費を除いて500万円もかかっていません。うち、最初の50万円は親が負担してくれましたしね」

そう電卓を叩いたのち、えぐざま氏は「慶應義塾大学の学費は165万円程度ですから、この1年間がもっともお金がかかっていますね」と晴れやかに笑った。