ここにあるのは「技術的に正確な、単位としての30ギガ」ではなく、「聞き手の生活の中での30ギガ」として具体的な写真の枚数や音楽の曲数に落とし込むことで、聞き手に自分ごととして意識させる効果だ。
相手の「特殊概念」に入り込む
デール・カーネギーによれば、私たちは物事を考えるときに「一般的な概念」(※1)ではなく、自分の手の届く範囲で、具体的に身の回りの事象にあてはめる「特殊概念」(※1)で考えをめぐらせる。目の前にある事物や経験にあてはめて、自分の中で納得のいく答えを探し回るのだ。そうであれば、聞き手のイメージしやすい事物にあてはめて話を伝えることが、相手の興味をひくために有効に働くことは想像に難くないだろう。
伝えるために大切なのは「相手の環境や立場を意識する」ことであり、聞き手には「自分の身の回りの出来事としてとらえてもらう」ことである。これによって聞き手側に話を聞く意義が生まれ、ひいては話し手の目的達成につながるのだ。
※1:Dale Carnegie, [1991]The Quick and Easy Way to Effective Speaking, Reissue,.
『心を動かす話し方』(デール・カーネギー著、山本悠紀子監修、田中融二訳 2006年 ダイヤモンド社)