SBG、オープンAI、オラクルの巨大連合
1月20日、第2期トランプ政権が発足した。トランプ氏は、米国経済を世界一に押し上げる「Make America Great Again(MAGA)」を狙って、米国内への企業誘致を目指している。
具体的には、高い関税を支払い海外で作ったものを米国に輸出するか、それとも、法人税率の低い米国で生産を行って販売するかの二者択一を迫っている。
トランプ氏の狙いに真っ先に応じたのは、わが国のソフトバンクグループ(SBG)が参加するスターゲート計画だ。昨年12月、孫正義会長兼社長はトランプ氏と会談し、1000億ドル(15.6兆円)のAI投資を表明した。そして1月21日、孫氏はトランプ大統領、オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)、オラクルのラリー・エリソン会長とともにAIインフラ計画である“スターゲート計画”を発表した。
高い関税の代わりに米国での生産活動を要求
同計画での投資計画は今後4年間で5000億ドル(78兆円)に拡大した。雇用の創出効果は数十万人に上る見込みだ。AIデータセンターが消費する新たな発電技術の実用化、AIによる家計、企業、社会インフラなどのソフトウェア化の加速を考慮すると、スターゲート計画はMAGAを支える重要なファクターの一つになる可能性がある。
一方、計画が期待通りに進まないリスクもありそうだ。現時点で、同計画に必要な資金をいかに調達するかは今後の課題となるだろう。また、AIが人類にもたらす危険性をどう抑えるかは明確ではない。さらには、先端半導体の開発と供給が遅れ、予定通りにAI利用が進まないことも考えられる。
1月23日、トランプ新大統領はオンラインで“ダボス会議”に登壇し、米国第一の経済政策を世界に宣言した。米国を世界で最強の経済にするため、トランプ氏は「もし米国で製品を製造しないなら、それは企業の自由だが、これまでとは違う額の関税を支払わなければならない」と述べた。関税を負担せずに米国の市場にアクセスするなら、米国内で生産活動を行うよう世界の企業に求めたのである。