「リフレクション=反省会」ではない

「プロジェクトお疲れさま〜」「今期も無事に終わってよかった!」で終わらせず、経験したことを振り返り、自分たちの言葉に落とし込みながら、新たな「教訓」を得る――これがチームの共通体験となり、チームづくりにつながります。

「教訓を得る」といっても、「こうすべきである」「こうせねばならない」といったマニュアル的な制約や規則を増やすわけではありません。むしろ、チーム全体で未来に向けた「新たなルーティン」を構築していく活動を意味しています。

リフレクションはしばしば、失敗や間違いに対する「反省」だと誤解されがちです。しかしここで重要なのは、失敗・成功だけにとらわれることなく、すでに起きた出来事や自分たちがとった行動を客観的に見つめ直すことです。

チームリフレクションは反省会や責任追及の場ではなく、一人ひとりがリフレクションを持ち寄り、共通体験を意味づけながらチームの教訓を得る場なのです。

また、チームでのリフレクションを社内公開イベント化すると、チームレベルだけでなく、組織レベルでの「共通体験」化も進みます。なかでも、チームづくりと組織づくりを同時に実現する「社内番組」は、ぜひともおすすめしたい取り組みの1つです。

オフィスで働くビジネスパーソン
写真=iStock.com/maroke
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オンライン配信型の「社内向け番組」

すでに触れたとおり、MIMIGURIにはオンライン配信型の「社内向け番組」がいくつもあります。その1つに、終了したばかりのプロジェクトについて「公開リフレクション」を行う「まいに知たんじょうび」という番組があります。

番組内では、パーソナリティと共にプロジェクト担当者たちが振り返りを行い、「どんなことに苦労したのか?」「なにが課題だったのか?」「それをどう解決したのか?」「学んだことや気づいたことはなにか?」などを深堀りして、ナレッジ(知)を生み出していきます。

MIMIGURIが手がけている組織開発支援のクライアントは、規模や業界もバラバラです。そのため、コンサルティングにおける企業の課題やその解決アプローチはプロジェクトごとに千差万別であり、ほかのプロジェクトでなにが行われているのかがブラックボックス化しやすいという問題があります。

安斎勇樹『冒険する組織のつくりかた 「軍事的世界観」を抜け出す5つの方法』(テオリア)
安斎勇樹『冒険する組織のつくりかた 「軍事的世界観」を抜け出す5つの方法』(テオリア)

そこで、1つのプロジェクトが終わるたびに、チーム全員でこの社内番組に出演してもらい、彼らの「共通体験」を語ってもらうようにしたところ、これが社内では大好評でした。視聴は任意としていますが、番組にはエンタメコンテンツとして楽しめる工夫が凝らされているうえ、ほかのチームでの取り組みを学べる機会が貴重だからか、多くのメンバーがランチタイムの息抜きも兼ねて積極的に視聴しています。

ちなみに学びが深かったプロジェクトのうち、クライアントの許諾がとれたものは「社外番組」としてアップデートして、MIMIGURIが運営するウェブメディア「CULTIBASE」で無料公開しています。社内のリフレクションの成果を社外にも広げる活動は、営業や採用広報にもプラスになります。