仕事でもプライベートでも「独り」になる

職場やビジネスの現場でも、年齢とともに求められる役割は変わります。単に仕事をこなすだけではなく、チームをまとめて後輩を育てることが重要になっていきます。

ところが、「あの人には何をしても報われない」「感謝の言葉すらない」と思われてばかりいれば、誰も「あの人と一緒に仕事をしたい」「困っているなら手を貸してあげたい」とは思ってくれなくなるのが自然です。

結局、責任のある仕事を任せられることも少なくなり、キャリアは頭打ちとなり、孤立してしまう――。そうした状況に陥る人は決して少なくありません。

プライベートでも同じです。パートナーの支えを当たり前として享受し、感謝を忘れてしまっていた人が、ある日突然パートナーから手を離され、呆然としているケースを私は何度も見てきました。

今からでも、ぜひ周囲の方々や大切な家族に感謝を伝える習慣をつくってみましょう。

オフィスのテーブルに残された茶色の封筒の中のカードに「ありがとう」
写真=iStock.com/sinseeho
※写真はイメージです

まずは1日10人に「ありがとう」を伝える

感謝を示すということは、特別なことをしなくてはいけないわけではありません。小さな感謝の習慣の積み重ねが、人間関係を大きく変えていきます。

そのための具体的な一歩として、まずは今日から1日10人に「ありがとう」を伝えてみませんか? たった2、3秒で済みますし、特別なスキルも必要ありません。普段の生活の中で、家族、同僚、部下、友人など、どんな小さな場面でもいいので、感謝を言葉にしてみてください。

「資料をまとめてくれて助かったよ」
「このコーヒー、美味しいね」
「話を聞いてくれてありがとう」

日常的な会話で構いません。ポイントは、「何に感謝しているのか」を具体的に伝えることです。そして、できればどんな感謝を伝えたのかをメモしておきましょう。記録しておくことで、後で見返したときに「私はこんなに周囲の人に支えられて生きているんだな」ということを実感することができ、さらにありがたい気持ちになります。

「ありがとう」は自分の嬉しい気持ちを相手に伝える言葉である、と冒頭にお伝えしましたが、実は「ありがとう」を受け取った側もさらに嬉しい気持ちにさせることができる、魔法のような言葉です。

ありがとうの連鎖が生まれる関係は、とても豊かで幸せなものになっていきます。1日10回「ありがとう」を伝えれば、1年間で3650回。何百回、何千回「ありがとう」を重ねていくうちに、あなた自身の人生もきっとさらに良い方向に変わっていくはずです。

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