自分が一番に大事にすべき人は誰か

利害関係がない人は気にしない

周囲の人に気を遣っていると、自分が本当にやるべきこと、やりたいことまで手が回らず、気疲れだけが残ります。

会社で考えるならば、自分の直属の上司や、取引先などの利害関係者でもない限り、無理をして気を回す必要はありません。

その理由は、相手がどう思っても、ほとんど自分には影響がないからです。

人間関係は複雑に入り組んでいますから、あちらを立てると、こちらが立たなくなることは、珍しくありません。

うまくやっている人は、「利害関係」や「影響の有無」を物差しにして、割り切った人間関係を意識しています。

これは「打算的」な考え方ではなく、自分が平常心を保つための「合理的」な考え方といえます。

誰にでも親切な人は、周囲から「優しい人」と見てもらえますが、誰にでも優しい人のことを、誰もが好意的に受け取っているとは限りません。

「あの人は八方美人だ」とか、「本心がわからない人だ」などと言い出す人がいますから、誰にでも親切にしても、額面通りには受け取ってもらえないものです。

ここでお伝えしたいのは、「人に気を遣うな」ということではありません。

自分に影響がない人は、「どうでもいい」ということでもありません。

誰にでも気を遣っていると、本当に気を遣わなければならない人まで気が回らず、仕事や人間関係がうまくいかなくなる……ということです。

「自分が一番に大事にすべき人は誰か?」を見極めて、そこに注意を払わなければ、自分を取り巻く状況が好転することはありません。

自分に影響がある人には慎重に接して、そうでない人まで気を回さないことは、自分を大事にするための「危機管理」と考えることが大切です。

「全方位外交」を目指すことで敵を作っている可能性

みんなに好かれようと思わない

仕事やプライベートで「誰からも好かれたい」と考えている人もいると思いますが、みんなに好かれようとしても、思い通りにいかないだけでなく、逆に自分を追い込んでしまうことになります。

人間関係を上手に維持している人は、「みんなに好かれる必要はない」と割り切ることで、周囲との適切な距離感を保っています。

みんなに好かれようとする人には、次のような五つの傾向が見られます。

①自分の存在価値に対する承認欲求が強い
②嫌われないために自分の欲求を抑え込んでいる
③周囲の評価や評判に過敏に反応する
④絶えず相手の要望を気にしている
⑤頑張りすぎて気疲れしている

周囲に気を回しすぎて疲弊することを「忖度疲れ」といいますが、それが原因となって、自分が本当にやりたいことを後回しにしたり、極端な場合には、心身のバランスを崩してメンタルをやられてしまうこともあります。

忖度疲れをするほど、周囲に気を遣っていたのでは、自分の気持ちが休まることがないのです。

疲れてオフィスの机にうつ伏せる女性
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

嫌われることを恐れて、安全で無難なことしか言わない人を、周囲の人が好きになることはありませんが、相手が嫌うのは、意見が合わないとか、話が面白くないということではなく、相手が嫌がることを言ったときです。

相手が気にしている身体的な特徴などを、軽い気持ちで話題にすると、ほぼ確実に嫌われることになります。

意外に思うかもしれませんが、みんなに気を遣っている人に限って、こうした落とし穴に注意を払わず、「地雷」を踏むことが多いようです。

無難な話題を心がけようとするあまりに、相手の身体的特徴に目が止まって、悪気なく口に出すことで、知らぬ間に相手から嫌われているのです。

誰からも嫌われたくないという「全方位外交」を目指したところで、思ったほどには味方が増えないだけでなく、気づかないうちに敵を作っている可能性がある……と考える必要があります。