SNS旋風の教訓
2024年は、いくつかの選挙でSNSの存在が投票結果に大きな影響力を与えた1年だった。この教訓は映像コンテンツにも当てはまる可能性が高い。すでにYouTube全体では、テレビのどのチャンネルより多く見られている。つまり多くのプレイヤーが関わる多様なコンテンツ群は、従来の大手メディアによる作品群を凌駕する可能性が出てきている。
また生成AIは地域を再起動する可能性がある。これまでは「カネなし・ヒトなし・ノウハウなし」だった地域メディアも、アニメやドラマを制作できるようになる。ヒットするか否かはアイデア次第なのである。
カンテレがめざす未来
では、冒頭で触れたカンテレは生成AIで何をやろうとしているのか。実は在阪の準キー4局を比較すると、放送収入では各局大差ないが、放送外収入ではカンテレだけが極端に少ない。
テレビ広告費はどの局も減少の一途だ。このマイナスを補うために、放送外収入増は喫緊の課題。そこで有効なのはアニメやドラマを強化し、ヒット作品を世に出すことによりライツビジネスで営業利益を伸ばせれば、収入につながる。
同局はまさにこれで、4局の中で唯一放送枠のなかったアニメを強化しようとしている。その際に生成AIで従来と異なるアニメワールドが構築できるのなら、強力な武器になるはずだ。
さらにドラマでも可能性がある。同局はドラマに定評があるが、過去の名作に生成AIを絡めて新たな付加価値をつけられたら、経営的に大きなプラスになる可能性がある。
大多社長はミッションとして「映像制作の未来を切り開く」とコメントしている。社長就任時には「日本初を連発するようなイノベーティブな会社にする」とも言っていた。その手段として生成AIをどう使いこなすのか。これは単にカンテレの未来だけでなく、ローカルメディアの今後も左右する可能性があると言えよう。
2025年は生成AIアニメ元年となると筆者は考えている。