面接準備で意識したい5つのステップ「SMART」
年収交渉のタイミングやスタイルを理解したところで、面接前に何を準備すべきでしょうか。参考にしたいのが、田村さんが提唱する交渉の事前準備のフレームワーク「SMART」です。
「まず基本となるのが『S(Situation)』、状況の把握です。状況とは面接を受ける会社の状況もそうですが、より重要なのは「自分自身の状況」。つまり『M(Mission)』です。自分はどんなミッションを持って仕事をしているか、何を目標に生きているか、中長期的なキャリアをどう描いているか。自分自身を的確に言語化することで、プレゼンテーションもスムーズになり、企業のミッションと自分のミッションを重ね合わせるなどしながら、信頼関係を構築していけるはずです。
『A(Alternative)』は代替案です。年収交渉が難航したら『ほかにこんな会社とも交渉し、良い返事をもらっています』と、業界で名の知れた他社の存在をちらつかせて交渉を有利に運ぶ手段です。ただ、これは基本的に最後の手段として考えるべきでしょう。複数の会社を天秤にかける行為は面接官にあまり良い印象を与えません。使う場合はあくまで、御社が絶対に第一志望であり、“たまたま”他社の面接にも受かってしまったことを強調すべきでしょう。
『R(Realistic Option)』は創造的選択肢で、要は自分の能力です。「どのポジションに配置すべきか」など、相手に具体的な選択肢を検討させるためには必要です。状況やミッションをアピールして相手の共感を得たら、今度は能力をアピールして相手に検討材料を与えます。
最後の『T(Target)』は合意可能幅です。年収をはじめとした具体的な条件で、交渉の余地が生まれるよう、幅をもたせておきます。ただ、ここまでの流れをしっかり踏めていれば、自ずと面接官から年収額が提示されるはずです。
A(他社の存在をちらつかせること)は最終手段に取っておき、基本はSとMとR(自身のスキルやミッション、中長期的なキャリアの展望)を少しずつ伝えながら、T(幅を持たせた希望年収)を提案するイメージで面接を進めてみましょう」