番外編② 二人一役、絶妙な連係のキャスティング特別賞
ここらで再び脱線。今度は二人で一役を演じたコンビの妙をまとめてみる。
●木村昴&及川桃利 「クラスメイトの女子、全員好きでした」(読売テレビ・日テレ系)
主人公は同級生が書いた小説をパクって受賞してしまった作家・枝松脛男。罪悪感に身悶える可笑しさ、天性の優しさと人類愛に説得力をもたらしたのが主演の木村昴、中学校時代の脛男を瑞々しく演じたのが及川桃利だ。このふたりが連係して、魅力的な脛男を完成。こんな男子が同級生だったら、という理想形でもある。
●玉山鉄二&西山潤 「笑うマトリョーシカ」(TBS)
政治家の敏腕秘書・鈴木を演じた玉山鉄二、高校生の頃は西山潤が担当。DNAの連係が完璧すぎて、唸った。顔が似ているというだけでなく、自分の正義を貫くために悪事に加担してしまう逡巡を同じ体温で演じていたことに驚いたので。
●古田新太&錦戸亮、磯村勇斗&彦摩呂、袴田吉彦&沼田爆 「不適切にもほどがある!」
もうこれは笑うしかない、あえて別人級の配役である。テーマは「時の流れは残酷」であり、「でもなんとなくわかる気もする」設定。キャスティングした人に拍手を。いや、お互いに寄せて演じたかどうかは知らんけど、役者陣にも拍手を。
いよいよベスト3へ。3位は眼鏡ナシがネットで話題になったあの人である。
もうバイプレイヤーとは呼ばせない
3位 野間口徹 41点
スウェット似合う選手権とノー眼鏡ヒール選手権優勝
今年は♪ノマノマイェイ、ノマノマノマウェイと歌い出したくなるほど野間口徹の暗躍を愛でた。
「VRおじさんの初恋」(NHK)ではVRゲームにしか興味がない、うだつのあがらない中年を演じた。どこにいても居心地悪く、誰といても落ち着かない、そんな人生ソロプレイヤーがVRゲームを通じて、人と関わる意義を見出す。
腹黒い笑顔や困惑顔であらゆる人間を演じてきたが、感情の起伏が少なめのおじさん役もしっくり。グレーのスウェット上下は、途端に男性から威厳を奪うアイテムなのだが、そもそも奪われるほど威厳がない中年というのも野間口ならでは。
逆に体温高めで演じたのが「あの子の子ども」(関西テレビ・フジ系)で、高校生の娘(桜田ひより)が妊娠したことでいろいろと血迷う父親役。ここでも威厳はないの。娘の子を自分の養子にするなど無神経な提案をして却下されたり、妻に暴言吐いたりもするが、真剣に考えているからこその暴言ともとれる。家族から蔑ろにされている父でも、頼りがいのある父でもないが、至極まっとうな父だと思わせてくれた。
もうひとつ、ネットで話題になったのが「全領域異常解決室」(フジ)の寿正役だ。眼鏡をかけないと野間口徹と認識されないのか、驚きの声があがっていた。本来は邪悪な笑みが似合うほうだよね。いろいろな顔を見せてくれたことを労おう。