そもそも不動産マーケットは歪んでいる

では、自己資金にもう少し余裕がある人は、具体的にどのようなタイプの物件を狙えばよいのでしょうか? 結論としては、狙う物件は区分マンションより土地付き物件(戸建て、ビル、一棟アパート・マンション)がおススメ。さらに言うと、「ビル」「一棟アパート・マンション」>「戸建て」>「区分マンション」の順というのが私たちの考えです。詳しくは以後の章で解説しますが、これは資産価値が高いと思われる順を指しています。

資産価値の観点からは、土地は存在する限りは一定の価値を有し続けます。しかし、建物は時間とともに価値が目減りしていきます。「経年劣化」という言葉がありますが、年数を経るごとに当然ながら物は傷んでいく。不動産・建築・会計業界では、例えば鉄筋コンクリートの建物(RC造)も、理論上47年を耐用年数とし、それ以上は無価値になると考えられています。さらに区分マンションとなれば複数の住人で物件を共有している状態ですので、ひとりあたりの土地の持ち分は微々たるもの。そのため、価値のほとんどは建物によるものであり、その頼りの建物の価値も、年月とともにどんどん目減りしていく、ということになります。

一方の土地付きの不動産も、新築時から建物の価値は下がりはするものの、土地の価格で下げ止まることとなります。特に、都心部となると土地に高い価値があるわけで、資産形成の面では土地付きを買うのが有効。さらには土地付き物件の中でも、同じくらいの規模(床面積)なら、実は戸建てより古ビルの方が割安で流通しているケースも少なくありません。これは後述するところの「不動産マーケットの歪み」に起因しているのです。