「気づきや違和感が大切だ」では不十分なワケ

ここで、なぜこのモデルで「出世魚」という比喩を使ったか説明させてください。

インサイトを見つけるプロセスでは、今まで一般的に「気づきや違和感が大切だ」「常識を疑うことや、自分独自の問いを持つことが重要だ」「仮説を持って世の中を観察することが肝心だ」などといった似たような言葉で説明されることが多く、その違いが明確にはわかりにくいと感じることもあります。

もちろん、それらは一つも間違いではありません。ただ、これらの似たようで違う言葉や考え方がたくさん出てくることで、少し混乱することもあるかもしれません。

佐藤真木・阿佐見綾香『センスのよい考えには、「型」がある』(サンマーク出版)
佐藤真木・阿佐見綾香『センスのよい考えには、「型」がある』(サンマーク出版)

そこで、本書では、これらの数多くの言葉は「すべて、最終的には『インサイト』へと成長する思考プロセスの途中段階の名前である」というスタンスをとることにしました。つまり、インサイト探索の中で出てくる数多くの言葉は、まるで「出世魚」のように「同じ種類の生き物だが、成長段階によって単に名前が違うだけ」なのです。

あなたの「気づき」や「違和感」、「疑問」「問い」「仮説」などは、まるで「出世魚」のように、最終的に「インサイト」という成魚へと成長する途中段階の一時的な「名前」として出てくるものです。異なる名前に惑わされずに、安心してインサイトを見つける作業を進めてください。

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