思考プロセス“5ステップ”
「出世魚モデル」とは、前項の思考プロセスを、次の5つのステップとして定型化して考えていくことで、誰もが持っているモヤモヤした気づきや違和感を「インサイト」へと育てていくことのできる型です。
具体的に言えば、次の5つの思考ステップを経て、「インサイト」が発見されるのです。
STEP1 日常の中の違和感に目を向ける
=直観や観察に基づいて、「気づき/違和感」を持つ(感性力)STEP2 違和感を抱いたのはどんな常識か?
=日常の暮らしの中の「常識/定説」を改めて明確に把握する(常識把握力)STEP3 常識の裏には、どんなホンネが隠れているのか?
=当たり前だと思われていることに「疑問/問い」を持つ(問題提起力)STEP4 隠れたホンネを、自分の納得いく言葉にする
=自分の目で改めて世界を捉え直した「仮説/推論」を立てる(言語化力)STEP5 自分の言葉を、みんなに信じてもらう
=客観的に誰もがわかるように「確認/検証」する(説得力)つまり、次のような5つのステップになります。
①日常の中の違和感に目を向け、
②その違和感を抱いたのはどんな常識か? を明らかにし、
③その常識の裏には、どんなホンネが隠れているのか? を探り、
④そこに隠れていたホンネを、自分の納得いく言葉にして、
⑤その自分の言葉を、みんなに信じてもらう
②その違和感を抱いたのはどんな常識か? を明らかにし、
③その常識の裏には、どんなホンネが隠れているのか? を探り、
④そこに隠れていたホンネを、自分の納得いく言葉にして、
⑤その自分の言葉を、みんなに信じてもらう
ちょっと面倒にも感じられますが、①から③までは慣れてくるとすぐできるようになります。
ちょっとした“コツ”をおさえるだけ
それぞれ簡単に説明していきましょう。
STEP1 日常の中の違和感に目を向ける
=直観や観察に基づいて、「気づき/違和感」を持つ(感性力)
自分が常日頃からモヤモヤと感じていた「気づき」や「違和感」を思い出します。
ここで大事なのは、「探す」のではなく「思い出す」という感覚です。
STEP2 違和感を抱いたのはどんな常識か?
=日常の暮らしの中の「常識/定説」を改めて明確に把握する(常識把握力)
「気づき」や「違和感」というものは、「これが当たり前だ!」という「常識」や「定説」、いわば「思い込み」に対して抱く「もしかして、ちょっと違うのでは?」という微かな感覚や感情のことです。STEP1で思い出した「気づき」や「違和感」は、一体どんな「常識」や「定説」に対して抱いたものなのか、その「常識」や「定説」を改めて把握して、明確にします。
STEP3 常識の裏には、どんなホンネが隠れているのか?
=当たり前だと思われていることに「疑問/問い」を持つ(問題提起力)
STEP2で改めて明確にした「常識」や「定説」は、果たして本当にそうなのか?、と根本から「疑問」を持ってみたり、その常識の裏側に本当は何が隠れているのか?、と自分なりの「問い」を立てたりします。日頃から「疑う」クセをつけると、「隠れたホンネ」に気づきやすくなります。
STEP4 隠れたホンネを、自分の納得いく言葉にする
=自分の目で改めて世界を捉え直した「仮説/推論」を立てる(言語化力)
STEP3で見つけた「隠れたホンネ」だと思えるものを、もっと、正確で精緻な言葉にして、自分なりの「仮説」や「推論」を立てます。生命線は、自分の感覚に「ピタッ」とハマるような心から腑に落ちる「言葉選び」です。
STEP5 自分の言葉を、みんなに信じてもらう
=客観的に誰もがわかるように「確認/検証」する(説得力)
STEP4での、自分の「主観」だと言われても仕方ない「仮説/推論」を、みんなの「客観」に進化させ、誰もが納得できるものにします。
普段見て考えている思考を「表」、いつもと違うことに視点を向けて考えていく思考法を「裏」とすると、次の図表3のようになります。
インサイトのプロは、誰もが先ほどのような「共通の5つの思考プロセス」をたどっています。つまり、センスの良い人が「瞬間的にインサイトを見つけている」ように見えるのは、経験や鍛錬を重ねることで、この5つの思考プロセスを頭の中で瞬時に高速で行っている、ということなのです。