むし歯にならないためにはどうしたらいいのか。歯科医の前田一義さんは「よく『甘いものを食べるとむし歯になりやすい』と言われるが、それは間違っている。甘いものにもさまざまな種類があり、なかにはむし歯リスクがゼロのものもある。一見、ヘルシーな料理でもむし歯リスクが高いものもあるため、注意が必要だ」という――。(第2回)
※本稿は、前田一義『歯を磨いてもむし歯は防げない』(青春新書インテリジェンス)の一部を再編集したものです。
「甘いもの=むし歯リスクが高い」は間違い
【カン違い】
むし歯リスクを減らすために甘いものは控えめにする
↓
使う甘味料や調理法で、むし歯リスクは減らせる
むし歯リスクを減らすために甘いものは控えめにする
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使う甘味料や調理法で、むし歯リスクは減らせる
むし歯菌のエサは糖です。ただし、「甘いもの」=「むし歯リスクが高い」とは限りません。糖には砂糖、果糖、乳糖など、いろいろな種類があります。砂糖はショ糖ともいい、サトウキビやテンサイなどから採ったものです。果糖は果物やハチミツなどに含まれる糖、乳糖は牛乳をはじめ哺乳類の乳に含まれる糖です。野菜や芋類にも糖が含まれ、たとえばシイタケはトレハロース、加熱したサツマイモは麦芽糖という糖を含みます。
このうち最もむし歯菌のエサになりやすいのは、砂糖です。だから、私はお子さんのおやつとして砂糖の入ったものは与えず、蒸かし芋や果物などを与えるようにお伝えしています(精製された砂糖がよくない、黒糖等の糖は身体にいいという人がいますが、むし歯に関しては同じくハイリスクです)。
むし歯リスクがゼロの糖もあります。キシリトールやステビア、エリスリトールなどです。キシリトールはイチゴやカリフラワー、ラズベリーなどに含まれます。ステビアは南アフリカ原産のキク科の植物の名前で、ここから抽出した糖です。また日本ではあまり馴染みがありませんが、エリスリトールもむし歯リスクがゼロの糖です。エリストールは果物やキノコのほか、醤油、味噌、日本酒などの発酵食品に含まれます。
トウモロコシから抽出したもので、日本でも「ラカントS」の名前で、シロップや顆粒状のものが販売されています。チョコレートは、むし歯になりやすい食べ物の代名詞ともいえます。でも、むし歯リスクゼロの糖を100パーセント使ったチョコレートなら、どれだけ食べてもむし歯になりません。もちろん、ほかのお菓子や料理に使った場合も同じです。