つかわないお金があるならすべきこと
本編でおっしゃっているとおり、先生のオススメ投資先は「オルカン」一択。また、よく耳にする「日本経済は成長が見込めないからドル預金を持ちましょう」という話には否定的でした。
「日本と比べて他国の政府がどれだけ信用できるかなんてわかりませんし、今の円安がずっと続くわけじゃありません。日本にも十分チャンスはあります。つまりは海外のチャンスにもアクセスできる状態でありさえすればいいんです。(オルカン投資を通して)お金は世界に分散させつつ、自分は自分でチャンスを探すという姿勢が大事です」
そして一旦預け先を決めたなら、お金のことで心や時間を支配されすぎないことも大切。「人生には他にもやることがたくさんあるのだから」とおっしゃっていました。投資におけるピークがいつまで保たれるか、いつから崩れるかなんてプロでもなかなか判断できない。だからこそ、わかりやすく、あまり不利にならない場所に運用を任せたら、仕事や趣味などに集中できる時間をしっかり持つ。それが人生を豊かにするお金との付き合い方なんだと思いました。
「僕はね、大学の講義でいつも『リボ払いで買い物をするような恋人とは結婚するな』って話すんですよ」
山崎先生のお話を伺っていると、お金とは、我々の普段の生活に深く組み込まれているものであり、必要以上に恐れるものでも崇めるものでもなく、適度な距離をもって付き合うべきものだということがよくわかります。お金は自分を評価する物差しではないのだから、仕事や人生がうまくいかないときに「お金で何とかしようとする、何かしないといけないと焦ることはやめましょう」という言葉が印象的でした。
2024年元日に山崎先生は65歳でお亡くなりになりました。その20日前に原稿の校正をお願いした際、青いボールペンの力強い文字で「よくまとまっています!」とメッセージを書いて戻してくださって、担当者とともに喜んだことが心に残っています。心よりご冥福をお祈り申し上げます。