電気などのインフラもすぐ復旧するとは限らない。そこで頼りになるのは自家発電機だ。ただしガソリン式のものを室内で使用すると、一酸化炭素中毒を引き起こす恐れがある。多少割高になるが、安全性を考えるとガスカートリッジ式の発電機がお勧め。ガソリンは長期保存が難しいが、ガス式にはカセットコンロ用のカートリッジを兼用できるメリットもある。

発電機の出力は少なくても1kVA以上、できれば3kVAクラスのものがほしい。3kVAあれば同時に複数の電気製品を使っても問題ない。パソコンなどに使用する場合、道路工事用のスタンダードなものは故障の原因になることもあるので要注意。精密機器を使いたいなら、正弦波(電力会社から供給される電力波形)に近い電気を発生する発電機を選びたいところだ。

東日本大震災では、金庫ごと貴重品が流されてしまったり、混乱に乗じて盗難されたケースもあった。金庫は紛失・盗難対策として、損害保険や盗難保険付きのものを選ぶといいだろう。所有権がはっきりわかるように外部に住所や名前を明記しておくのもお勧めだ。また金庫は無事でも、鍵を紛失して開けられなくなるケースがある。登録制のサポートが受けられるメーカーのものなら、さらに安心だ。

金庫は耐火性能によって価格が異なる。1万円程度の簡易式金庫だと、火事のときに中が高温になって焼けてしまう恐れがある。一定程度の耐火性能を望むなら、3万円クラス以上の金庫を選びたい。ただ、再発行不可能な権利書などの書類は、もうワンランク上の安全性がほしい。可能ならば家庭の金庫にしまうより、金融機関の貸金庫を活用したいところだ。都市部では貸金庫が一種のステータスになっていて、簡単に貸してもらえないことがあるが、地方では比較的気軽に利用できる。まずは自分の口座のある地元の信金などに相談してみてはいかがだろうか。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=村上 敬 撮影=坂本道浩)
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