ガソリン・電気・ガスの補助金は続けるのか
ガソリン価格を抑えるように出している補助金は今年末まで継続するが、その後、どうするかは明確にしていない。電気、ガスは10月使用分まで補助金が出ることになっているが、冬に向けてどうなるのか。選挙戦終盤に、補助金の継続をぶち上げるつもりかもしれないが、こうした補助金で市場価格を抑えるやり方はいつまでも続けられるわけではない。
こうした補助金によるエネルギー価格の引き下げは、国の財政を悪化させるという見方につながる。さらなる円安が進めば円建ての輸入物価は上昇するから、いつまでたっても、賃上げを上回る物価上昇が続くことになりかねない。これ以上、実質賃金の減少が続くようだと、消費量を減らして生活費の出費増を抑える動きにつながりかねない。
今年度上期の企業倒産は11年ぶり高水準
唯一、具体的な方向を示したのが2020年代に全国平均の最低賃金を1500円にするというものだが、所信表明を聞くと「全国平均1500円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けます」という努力目標にトーンダウンしている。最低賃金の改定は10月で、実際の議論は来年7月の参議院選挙が終わった後になる。2020年代に1500円を実現するには年8%程度の引き上げが必要になり、これを本気で実現すると体力のない中小企業は人件費倒産が避けられない。
人手不足の産業にシフトさせる「労働移動の促進」が岸田内閣の方針になっていたが、それを実現させようとすると、収益性の低い中小企業は退室を迫られることになる。すでに人手不足倒産が増えており、今年度上期の企業倒産は5000件に迫り11年ぶりの高水準になっている(※)。結局、キャッチフレーズは掲げても、実現できるかどうかは先送りという、これまた岸田流を継続するということなのだろうか。
※帝国データバンクの倒産集計による