3年前の総裁選では人気1位だったのに…
過去最多の9人が出馬した自民党総裁選(9月23日投開票)で、河野太郎デジタル担当相が総裁レースから早々に脱落した。国会議員にも党員党友にもほとんど支持が広がっておらず、最下位を争う想定外の展開だ。
3年前の総裁選では世論調査で人気1位だった。「改革派」としてならした往年の勢いは見る影もなく、ただ空回りしている。このままでは総裁選で惨敗し、政治生命を絶たれる危機である。
河野氏が入念な準備を経て総裁選に臨んだのは間違いない。麻生太郎副総裁の支持を取り付け、第二派閥・麻生派の候補として出馬した。最大派閥・安倍派の支持は得られないとみて、裏金議員に「裏金返納」を求めると表明して支持拡大を狙った。
年末調整を廃止してすべての納税者にマイナンバーカードを使って確定申告してもらう、東大や一橋大を地方に移転する……次々と繰り出す大胆な提案は、世論の猛反発を受けるどころか、ほとんど相手にされていない。勝つ見込みのない河野氏の言葉に誰も耳を傾けていないのだ。
いったいどこで道を踏み外したのか。河野氏がコケた最大の理由は、世襲政治家特有の既得権意識にあると私はみている。
以下、詳細に解説していこう。まずは総裁選の最新情勢から始める。
総裁選は、石破氏、小泉氏、高市氏の争いに
総裁レースは「本命」の小泉進次郎元環境相、「対抗」の石破茂元幹事長、「大穴」の高市早苗経済安保担当相の3人に絞られた。小泉氏は国会議員票で優位に立つが、党員党友票で伸び悩んでいる。これに対し、石破氏と高市氏は党員党友票で首位を争うが、国会議員に支持が広がっていない。
上位2人による決選投票に進むのは誰か。決選投票は国会議員票が格段に重みを持ち、小泉氏が勝ち上がれば優勢は揺るがない。しかし、小泉氏が第一回投票で3位に沈む可能性もある。その場合は国会議員に不人気の石破氏と高市氏の激突となり、どちらが勝っても不思議ではない。
上位3人に続く第二集団は、小林鷹之元経済安保担当相、林芳正官房長官、茂木敏充幹事長、上川陽子外相の4人。小林氏は最大派閥・安倍派の中堅若手を中心に国会議員票では小泉氏に次ぐ2位につけているが、知名度不足は否めず、党員党友票で出遅れている。
林氏は第四派閥・岸田派、茂木氏は第三派閥・茂木派の支持を中心に国会議員票は堅調だが、党員党友票で苦戦している。いずれも第一集団の3人に遠く及ばず、決選投票への進出は難しそうだ。