「白票」は政治家にとってプレッシャー

その意味では、投票用紙にどの候補者の名前も書かずに真っ白のまま投じる「白票」だって、意味があるんですよ。「白票は無責任だ」という声も聞きますが、「選びたい人物がいない」事実を表明する「白票」は、政治家を脅かす十分な威力を持っています。

橋下徹『13歳からの政治の学校』(PHP新書)
橋下徹『13歳からの政治の学校』(PHP新書)

「あなたの主張・政策を私たちは評価していませんよ」
「いま選びたい候補者はいませんが、私たちはちゃんと政治に関心を向けていますよ」
「私たちが選びたい候補者が出てくれば、あなたではなくその人を選びますよ」

そう意思表示する「白票」は、政治家にとっては想像以上にプレッシャーになるんです。実際に、選挙を通じて選ばれる立場も経験した僕だからこそ、その脅威を肌感覚でひしひしと理解しています。「白票」は何も書かれていない真っ白な紙などではなく、「あなたを評価していません」という強烈なメッセージだからです。

政治家は白票の数を見て、「ちゃんとやらないと、次の投票では自分のライバルにこの白票が流れるかもしれない。この人たちの声を真剣に聴かないと、次の選挙に負けるかもしれない」とビクビクすることでしょう。

日本の投票用紙
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです

投票するだけでいい

現在の国政選挙にしても地方選挙にしても、自宅から投票所までどれだけ遠くても歩いて10分か20分程度です。車が必要な場所でも、だいたい30分圏内には投票所があるはず。当日ほかの予定があっても、期日前投票ができます。投票することなんて、大した負担ではありません。

その程度の労力もかけずに、「自分たちの思うとおりの社会をつくってくれ」「こんな政治は意味がない」と政治に文句を言うのは虫がよすぎます。

僕らは民主主義を運営するうえで、先人たちのように血を流したり、命を失ったりする心配はありません。

投票するだけでいいのです。だからせめて、投票所に足を運ぶ汗くらいは流しましょうよ。

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