住んだことがある人の4割は「もう一度住みたい」
実際、東京都に住んだことがあるかないかで、「住みやすそう」への評価を集計してみると、東京に住んだことがある人は34.9%がyesと回答しているが、住んだことがない人でyesと回答した人は17.1%に過ぎない。
同様に、東京に住んだことのある人は41.1%が「(もう一度)住みたい」と回答しているが、東京に住んだことがない人の「住んでみたい」にyesと回答した比率は21.6%と半分になる。
そして、居住者の評価では、生活利便性、交通利便性、行政サービス、親しみやすさは1位で、住み続けたいも13位で幸福度も6位となっている。
住んでいる人たちは、物価は高くて、人も多いが、利便性は高く、全体としては満足しており、割と住み続けたいと思っている、ということなのだ。
一方、神奈川県、埼玉県、千葉県は若干傾向が変わるが、全体としてはやはり住んでいる人たちの評価は比較的高い。
そのなかで、非居住者の評価で神奈川県は「住みやすそう」「住んでみたい」で1位となっているのは、「横浜」のブランド力の高さだろう。
東京の住みにくさの象徴となった「待機児童問題」報道
さらに、首都圏、特に東京の住みにくさを効果的に伝えた報道としては待機児童問題があるだろう。
2016年に注目を集めた「保育園落ちた日本死ね!!!」という、気持ちはわからないでもないがとても品が良いとは言えないネットへのエントリーは流行語のトップテンにも入ったが、これは当時の待機児童問題への関心の高さを示している。
2016年4月の待機児童数は厚生労働省の資料によれば、待機児童数は全国で2万3553人で、前年から386人増加している。
しかし保育所等の定員は263万人(前年比10万3000人の増加)、利用児童者数も246万人(前年比8万5000人の増加)となっている。
この時の待機児童数のトップは横浜市で3764人、東京23区のトップは世田谷区の1320人だが、横浜市の保育所定員は5万9097人で利用児童数は5万8756人、世田谷区の保育所定員は1万2895人(利用児童数は資料に掲載がにない)だ。
ここから、保育所定員に対する待機児童数の比率を計算すると横浜市は6.4%、世田谷区は10.2%となる。
待機児童が数千人もいると聞けば、さも保育園を利用するのがとても難しいような印象を受けるが、(待機児童は0~1歳児が多いため、0~1歳児の収容人数に対する待機児童の比率はもっと高くなることには注意が必要だが)、実際には9割程度は問題無く利用できていることになる。