上場企業の場合、赤字転落は株価の下落につながる。株式を上場している以上、株価は会社の評価軸になるので、大幅な下落は避けたいところだろう。また、中小企業にとっては、赤字が続くと銀行から融資を引き揚げられてしまい、運転資金がショートしてしまう恐れがある。

これらの理由から、多くの企業経営者は何とかして黒字を確保しようとするのだが、わずかな操作であっても、これは立派に粉飾決算である。この手の会社は、今期は何とか黒字を維持できるかもしれないが、来期がどうなるかはまったくわからない。そのような会社を取引相手や投資先にした場合、余計なリスクを抱え込む羽目になりかねない。

具体的な目安としては、黒字で売上高利益率が1%を割り込んでいる企業については、むしろ赤字を計上している企業よりも注意が必要である。粉飾決算の恐れがあることも含めて、要警戒水準と考えてかかったほうがよいだろう。

答え(B)
公認会計士 山田真哉
1976年、兵庫県生まれ。大阪大学卒業後、一般企業を経て、公認会計士2次試験に合格。現在、公認会計士山田真哉事務所所長。『食い逃げされてもバイトは雇うな』などベストセラー著書多数。
(構成=鈴木雅光 撮影=澁谷高晴)
【関連記事】
会計的感覚を磨きあげる練習(2) -情報とお金が集まる「算数マジック」練習帳【中級編】
ヤマダ電機のポイント加算20%と現金割引15%はどっちが得か
東大医学部生が考案した「ゴースト暗算」が話題沸騰!
数字や経済に強くなるための方法は
数字嫌いの原因は脳の防衛機能