2024年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。教育・子育て部門の第5位は――。(初公開日:2024年4月2日)
学習を効率よく進めるにはどうすればいいのか。アメリカの医師国家試験にトップ1%の成績で合格した米国内科専門医の安川康介さんは、「繰り返し読む、ノートに書き写す、蛍光マーカーで線を引くといった学習法は、いずれも効果は低い。効率を高めるには、科学的根拠に基づく勉強をしたほうがいい」という――。

※本稿は安川康介『科学的根拠に基づく最高の勉強法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

試験勉強中の学生
写真=iStock.com/fotostorm
※写真はイメージです

科学的に効果が高くない勉強法1 繰り返し読む(再読)

教科書や本は何度も繰り返し読んだほうが良いと、どこかで聞いたり読んだりしたことがある人は多いかもしれません。繰り返し読む、再読するという勉強法は、最も一般的な勉強法の1つだと言えます。

アメリカのある名門大学の学生を対象にした調査では、アンケートに答えた84%の学生が、ノートや教科書の再読を試験対策に使う勉強法として挙げていました。そして、アンケートに答えた半数以上(54.8%)の学生が、再読が最も重要な勉強法だと回答しました。

では、再読は、効果の高い学習方法と言えるのでしょうか。

結論から言うと、「ただ繰り返し読むこと」は、『科学的根拠に基づく最高の勉強法』で説明するような他の勉強法と比較すると効果が低いことがわかっています。

★研究
コロラド大学の大学生たちを対象とした研究では、約1500~1700語の文章を再読するグループと、再読しないグループに分け、内容をできるだけ思い出してもらう試験や短答形式の試験を2日後に受けてもらいました。文章を続けて2回読んだ学生と、1回読んだ学生では、2日後の試験の成績に有意な差(統計学的な分析に基づいて評価された差)はありませんでした。

また、別の研究でも、教科書や科学雑誌からの異なる文章(学生にある程度馴染みがあるトピックやあまり馴染みのないトピック)を、再読するグループと、1回だけ読むグループに分けて、多肢選択法や短答形式などの問題を大学生たちに解いてもらいました。この研究では、直後、そして1日後の試験での正答率は、再読した学生と1回だけ読んだ学生の間で、ほとんどの場合に有意な差がなく、再読に大きな学習効果がないことを裏付ける結果となりました。