「増税メガネを否定」なら自民党が大逆転の可能性
東京15区には「自民党公認候補者に対する優先投票」という政党支持者の行動原理の陰に隠れた、物価高に苦しむ自民党支持層の本音が染み出した結果が表れていた。さらに、東京15区では上記3候補以外にも消費税減税を選挙公約として掲げた候補者の得票を合計すると約53%に達していた。この得票率は当選した立憲民主党候補者の得票数を軽く上回る数字でもあった。
9月の自民党総裁選挙において「消費税減税」を打ち出した候補者が全国的には表面化していない自民党支持者の本音を掴むことで、有権者の過半数からの支持を得る可能性は十分にある。あくまで「消費税減税」はその一つの仮説にすぎないが、自民党総裁選挙で議員票(議員の好き嫌い・利害調整)だけでは逆転の見込みがない候補者らは、大減税政策を試しに主張してみる価値はある。そして、現状のままでは与党の大幅議席減は避けられないため、当落ギリギリの議員もその賭けに乗ってみる余地はある。
自民党が最も強い選挙を展開するときは、それまでの与党の党是を翻した瞬間である。新総裁が「増税メガネ」と呼ばれた岸田首相を否定し、そこから生まれた勢いで与党・野党を飲み込むなら、自民党には選挙で大勝利をもたされることになるだろう。反対に党内談合でトップの首を挿げ替えたところで、国民はその本質を見透かし、すぐに支持率は急降下することになる。自民党支持者、そして国民の声なき声を「真に聴く耳」がある新総裁が選ばれるか、今から注目していきたい。