理想は「同じ時間に寝て、同じ時間に起きる」

――朝、気持ちよく目覚めるにはどうすればいいでしょうか。

ものすごく簡単なことです。30分でも早く寝てください。今より睡眠時間を30分でもいいから伸ばしてほしいんですね。それだけで、朝の寝起きがすごく変わりますよ。

睡眠が足りていたら、朝スッキリ起きられるのが当たり前なんです。その単純な、当然のことに気がついていない方が多いんですね。

就寝時刻も起床時刻も変えずに、睡眠の質を良くしようといろいろな努力をするよりも、まず30分早く寝ることですね。「睡眠は質より量」が重要なんです。

騙されたと思って、30分早寝を3日ほど続けてみてください。すると、ほとんどの人が調子が良いと自覚するはずです。

――就寝・起床時刻が不規則な場合、どういう影響がありますか。

疫学調査の結果があって、睡眠の不規則性、例えば就寝・起床時刻の不規則な人ほど、循環器疾患や生活習慣病、つまりメタボ(メタボリックシンドローム)にかかりやすくなります。

睡眠は、規則的なことが非常に重要なんです。睡眠量よりも規則性のほうがさらに大切だと主張する研究者もいるぐらいですから。いつも決まった時間に起きて、寝るという、睡眠のリズムを崩さないことが理想なんです。

週末の寝だめは「時差ボケ」を作り出す

――休日の寝だめはよくないのでしょうか。平日は寝不足気味なので、週末ぐらいゆっくり寝たいと思ってしまいます。

慢性的な睡眠不足をリカバリーするには4日ほどかかります。ですから、休日の2日間だけでは完全には回復できません。

また、週末に寝だめをすると、社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)になってしまいます。週末の起床時刻と就寝時刻の真ん中の中央時刻が、平日より2時間以上ずれると、時差ボケ状態になるんです。

ベッドルーム
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例えば、平日は深夜0時から朝7時までが睡眠のコアタイムの人が、金曜日の晩は真夜中の2時から昼12時まで寝たとすると、平日の中央時刻が3時30分、週末の中央時刻が7時なので3.5時間のズレが生まれます。

これは、インド―日本の時差と同じです。土曜日にインドへ旅行して、月曜日に日本に帰ってきた時の時差ボケを想像してみてください。調子悪いのは当たり前なんですよね。