「寝る前のスマホは絶対NG」とは限らない

――それとは逆に、睡眠できていないと悩んでいても、実は熟睡できているケースもありますか。

はい、不眠(眠りたいのに眠れない)の悩みを訴える方々のうち、6割5分くらいが、客観的には眠れているのに、主観で眠れていないと感じている「睡眠誤認」です。残りの3割5分が本当に眠れていない、客観不眠です。

睡眠誤認か客観不眠かは、客観的に睡眠を測定をしてみないとわからないのです。

――寝る前のスマホはやめたほうがいい、という話は本当でしょうか。

「寝る前のスマホやパソコンは眠れなくなるからダメ」とよく言われていますが、悪いのはスマホでなくて、コンテンツです。その人にとって癒しになる、落ち着いて眠くなる動画、例えば景色や自然、好きな動物などであれば、寝る前に見ても問題はありません。

ただし、ベッドに入っていつ寝落ちしてもいいような態勢になっていることが前提です。

猫の動画を「睡眠儀式」にして、睡眠が改善

実際、「ベッドに入ると不安を感じ、寝ようとしても眠れない」と悩んでいる40代女性のケースでは、猫の動画を見ると不安が癒されるけれど、寝る前の動画は睡眠を妨げると思ってがまんしていたそうです。

そこで、「癒しになるなら猫の動画を見て寝ましょう。習慣化して、睡眠儀式にするといいですよ」とアドバイスをしました。

その結果、睡眠に対しての嫌気やプレッシャーが少なくなり、非常に良い睡眠をとれるようになりました。入眠が早くなり、昼間の眠気も取れたそうです。

絶対やってはいけないのは、脳が興奮して眠れなくなるゲームやチャットなど、インタラクティブな操作を伴うコンテンツです。次から次へと見続けてしまうショート動画もダメです。

――いびきの音で起きてしまいます。いびきをかかない方法はありますか?

いびきを自覚している人は、横向きに寝るといびきが抑制されます。睡眠時無呼吸症候群の人も、横向きに寝るのが効果的な場合があります。

枕は少し両側の高い枕が横向き寝にいいですね。この枕を使うと、横向きの時間を長くすることができるはずです。また、抱き枕も効果的です。