朝スッキリ目覚められない、日中に居眠りをしてしまう、夜なかなか眠れない、夜中に目が覚めてしまう……。こうした睡眠の悩みを解消するにはどうすればいいか。筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史教授に「睡眠の正しい常識」について話を聞いた――。(後編/全2回)
「どこでもいつでもすぐ眠れる」は睡眠不足
(前編から続く)
――睡眠不足の人にはどんな特徴があるのでしょうか。
わかりやすいサインは3つあります。
昼間から夕方の時間帯に眠くなる人は、明らかに睡眠不足です。電車の中で寝る人も、典型的な睡眠不足ですね。
パワーナップ(昼寝)をした時に寝つきがいい人もですね。「俺はどこでもいつでも1分で眠れる」と豪語している人は、間違いなく睡眠不足です。人間は、昼寝しようとしても、そう簡単には眠れないんです。昼間の時間帯に8分以内に眠れる人は、睡眠不足の可能性があります。
そして、週末の寝だめをする人です。週末の睡眠時間が平日より2時間以上長い人は睡眠不足です。あと、自分はショートスリーパーだという人の殆どが、自覚の無い睡眠不足です。真に短時間睡眠で十分なショートスリーパーは、極めて希な体質なんです。
自分の「最適睡眠時間」を一発で知る方法
――大人の理想の睡眠時間はどれくらいでしょうか。
最適な睡眠時間は、年代によって徐々に変わります。20代以降は6~8時間が必要とされていますが、あくまで平均値です。実際は必要な睡眠時間は体質で決まっていて、一人ひとり個人差があります。
自分に必要な睡眠量が一発でわかる方法があります。最低3晩、できれば4晩連続で、眠れるだけ眠ってみることです。その際、他の人に邪魔されない環境で連続して眠ります。
すると、多くの人は最初の晩の睡眠時間が長くなります。2日目から減っていって、最終的に3日目あるいは4日目は睡眠時間が一定になり、それがその人にとって十分な睡眠ということになります(図表1)。