【邱】お財布よりも、大切なのは中身ですよ。僕は台湾政府と喧嘩して、おまえを捕まえて銃殺するって言われたので香港に逃げたんです。香港で一文無しからお金儲けをしましたよ。あるとき、子分を連れてダンスホールに行きました。僕は格好もよくないし踊りもうまくないんだけど、僕がお財布を出すとダンサーが一斉にこちらに寄ってきました。お金の力なんだということがわかって興冷めしました(笑)。
【亀田】なるほど。
【邱】でもよく稼ぐ人でもほとんどの人がお金を半製品で終わらせてしまいます。私に言わせると、お金は使って初めて完成品になるのに、大抵の人が親子二代でこれをやるのです。僕は一代で完成品にしようと主張してきました(笑)。ロールス・ロイスだって7台乗ったしね。ですから上等の財布よりも中身をどう扱うかが問題ですね。
【亀田】それだけお金持ちでも、1円玉を拾われるんですよね。
【邱】なんで拾わないの? お金を大切にしない人は、お金持ちにはなれませんよ。お金持ちになるには、お金に関心を持ち、それを努力し続けることです。
【亀田】日本人はお金は汚いものという意識が強く、その意識がお金と正面から向き合うことを邪魔している。
【邱】ずっとお金には不自由してきたんですよ。徳川時代は500石のサムライでも額面通りもらっていた人はほとんどいませんでした。財政が苦しかったから、お金のことは口にしなかったんです。その点、私の母は日本人ですが、口癖は「懐にいくらお金が入っているかわかるような生活をするな」でした。