亀田潤一郎先生

【亀田】どういう意味ですか。

【邱】月給日前はソバをすすって、月給をもらった途端にバーやクラブに行くなという意味です。私は、ロールス・ロイスでも全部現金で買いました。お金を稼ぐのも難しいですが、実はお金を使うほうはもっと難しいんですよ。

【亀田】どうすれば学べますか。

【邱】心がけて練習することですよ。使い方を覚えた頃にはもう死んでいますけどね(笑)。お金がないと困りますが、頭はお金儲けのためにだけあるわけではありません。私はお金持ちの人だから、偉いとは思っていませんよ。ひとつのことを懸命にやっている人のほうを尊敬しますね。ですから、大金持ちになる必要はない、中金持ちで充分だと言っているんです。

【亀田】なんだか木っ端微塵にされた気分ですが(笑)、やはり邱先生はお金に前向きで、同時にとても楽観的な方だと感じます。これは稼ぐ人に共通のことですね。ありがとうございました。

※すべて雑誌掲載当時

事業家・作家 
邱 永漢

1924年、台湾生まれ。45年に東京大学経済学部卒業後、台湾、香港などに渡り、銀行員、貿易商として莫大な財を成す。54年より日本在住、55年『香港』を上梓。第34回直木賞を受賞。食の大人としても知られる。

資金繰り改善コンサルタント兼税理士、ブリンク・リンク・パートナーズ代表取締役 
亀田潤一郎 

1967年、神奈川県生まれ。大学卒業後、税理士事務所、経営コンサルティング会社を経て2003年5月に税理士開業。数字に苦手意識を抱く中小企業経営者向けに独自の通帳活用法を開発、「資金繰り改善コンサルタント」として活躍中。著書に『通帳は4つに分けなさい』『稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?』がある。
(山田清機=構成 牧田健太郎=撮影)
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