アメリカでは門外漢でも歓迎される

日本とは逆に門外漢を大歓迎するのは、アメリカという国の素晴らしい部分だと思います。研究者たちが、もともとの自分の専門外に踏み出して、立派な業績を挙げる例は数多くあります。

たとえば、カリフォルニア大学バークレー校で心理学の博士号を取り、プリンストン大学で心理学教授を務めていた、ダニエル・カーネマン(1934〜2024年)。

彼は経済学を心理学的に読み解き、不確実な状況下における人間の意思決定について理論化。新分野である行動経済学を開拓したことが認められ、2002年にノーベル経済学賞を受賞しています。日本ではまずこのようなことはないでしょう。

門外漢でも躊躇しない。門外漢を排除しない。

アウトプット的生き方で人生の幅を広げていくためには、門を開けて自由に思考の産物を往来させることが大切です。

難しい言葉・専門用語の羅列が「賢さ」ではない

難しいことを平易な言葉で語る――アウトプット実践のヒント②

難しい言葉で語られる諸説をありがたがり、それを聞いたり読んだりしている自分に少しばかり陶酔する。難しい言葉は賢さの証明という勘違いがはなはだしいのは、日本人の特徴です。

しかし、本当の頭のよさとは、どんな難解なことでも、聞く人がスムーズに理解できるように話せること、書けることにあります。

あるテーマについて話すとき、相手が小首をかしげてしまうような専門用語を並び立てる人は、頭のよさという点では怪しいものがあります。

講堂で学生に教える教授
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たとえば大学教授を例に取りましょう。日本の大学教授レベルの専門家たちは、一般の人にはなじみのない小難しい言葉を平気で使う人が少なくありません。

この手の日本人専門家がアメリカの大学に教えに行ったらどうなるでしょうか。日本人の聞き手のようにあがめてくれるでしょうか。

残念ながら、それは100%ないでしょう。アメリカ人にとって尊敬に値するのは、話がユニークで、それを誰にでもわかりやすく説明できる人なのですから。

難しいことを難しく語る人に対しては、「そもそも語る内容についての理解が足りないから、わかりやすい言葉で語れない」「適切な語彙をもっていない」「人に伝える表現力が備わっていない」とシビアにマイナス評価を与えます。