先行するアマゾンとの決定的な違い
ECの世界では、「アマゾン・マーケティング・クラウド(AMC:Amazon Marketing Cloud)」をはじめとしたデータ分析ツールが以前からあった。対する「ルミネート」の特徴は、膨大な数のリアルな売り場とデジタルの両方でデータを収集し、踏み込んだ分析を実施している点だ。
「なぜウォルマートは5000億円以上を『広告』で稼げるのか…日本の小売業が誤解する『リテールメディア』の本質」の記事で説明したように、ウォルマートのリテールメディアが急成長した最大の理由は「リアル店舗×デジタル」の成功にある。
ウォルマートの強みは、第一に「圧倒的な店舗数と販売量」だ。同社が公表している米国内の数値は以下のようになる。
◇販売するバスケット(買い物カゴ)数:年間52億個
◇販売アイテム数:週に84万個
◇トレーサブル販売:80%
DXの背景に「リアル店舗×デジタル」の成功
このうち「トレーサブル販売」とは、購入者の属性やデータを追跡可能な販売ということだ。トレーサブル販売が80%も占めるのは、ウォルマート利用者に決済機能を備えた「スマホの専用アプリ」が普及しているためだ。買い物客のニーズに合わせた商品広告などがアプリ内や売り場のサイネージに表示される。ウォルマートがDX成功企業といわれるのは、買い物で頻繁に利用する「スーパーアプリ」を普及させ、顧客とデジタルでつながった点が大きい。
こうした「リアル店舗×デジタル」の成功によって、ファーストパーティデータ(自社の独自データ)を収集し、高度な分析を可能にした。
「ルミネート」では、サプライヤーに提供するソリューションを「Know Your Customer(あなたの顧客を知る)」「Know Your Store(あなたの売り場を知る)」と表現している。自社の商品がいつ、どの売り場で、どのように購入されたかというデータをもとに、サプライヤーは「ショッパー(買い物客の)行動」、購入理由などの「顧客認識」、「チャネル(店舗、ECサイトなど購入された場所の)パフォーマンス」の3点を知ることができる。
それぞれの項目を詳しく見ていこう。