FC加盟の半数は「飲食未経験」
加盟店になる人は、飲食業の人が約半数を占めるが、言い換えれば、残りの半数は異業種からの参入だ。例えば、青森県のある加盟店は、本業が建設業で、新規事業として「鰻の成瀬」をはじめて、この7月に7店舗の陣容となっている。
売上が好調な加盟店の特徴は、総じて、ロードサイドにあって駐車場が整っている店舗であることだという。日商60万~70万円という店もまれではなくなっている。
すべての加盟店はLINEでつながっている。各店の日商はすべて公開されて情報が共有されている。最大の需要期となる「土用の丑」でも、昨年の「土用の丑」を経験している先輩オーナーがLINE上で新人オーナーにアドバイスを送るなど、それぞれオペレーションの対策を整えたという。
11月までには300店舗達成を目標
本部と加盟店の関係は実にシンプルである。加盟店が本部から与えられたルールや縛りもほとんどない。それはなぜか。
「本部が加盟店向けにルールをたくさんつくるのは、加盟店の売上が上がらないから。加盟店が儲かっているとルールを細かくつくる必要はありません」
加盟店が店の看板に価値を感じなくなると、加盟を辞めて同じような商売を自分オリジナルで手掛けようとすることはFCビジネスで起こりがちだが、これまで「鰻の成瀬」にはこのような動きが全くない。それは「鰻の成瀬」のようなFCチェーンの仕組みをつくるのが困難で、加盟していることのメリットが大きいということに尽きる。
また、本部ではテレビを始めとして消費者向けのCM発信を活発に行っている。今年の7月20日から8月25日まで開催されるフジテレビ主催の「お台場冒険王」に出店して、消費者にアピールするとともに、テレビ局とのつながりを強くしている。
国内は今年11月ごろまでに300店舗を区切りとし、それ以降は加盟店オーナーサイドの増店を図っていくことを想定している。また、海外では香港での展開が進められているが、このほかの国々での展開にも意欲を示している。
これまでのうなぎ専門店とは、職人が居て、着物姿の女性スタッフが居て、単価が5000円、6000円といった商売のイメージがあったが、「鰻の成瀬」にはこれらとは全く別の世界観がある。「鰻の成瀬」は1600円からうな重を食べることができて客単価は2400円。需要は増え続けている。鰻専門店の世界に多様性をもたらして、消費者にとってこの業界を親しみやすいものにしている。