急ピッチで出店できて、営業がすぐに安定する秘訣

では、なぜ駅前や飲食店街のような一等地でないところでもやっていけるのか。

まず「うなぎ専門店」に共通する強烈なマグネット力(客を引き寄せる力)が挙げられる。

「この業種はランチタイムに2000円の客単価が取れる。うなぎは日本人の老若男女が大好きな食べ物であるから、目的を持ってうなぎ専門店に行く。そこで価格が業界の水準より安いということであれば、より気軽に食べに行きたいと考える。なので店は一等立地にある必要はなく、居抜きでも十分にやっていける」

営業時間が11時から14時と17時から20時にしている理由はこうだ。

「ランチの営業時間を11時から14時にしているのは、子育て世代の方が働きやすい環境にしているから。この場合、拘束時間は10時から15時ということになる。朝お子さんを学校に送り出して出勤し、店の仕事を終えて家に帰ると、お子さんを迎えることができるというスケジュールが成り立つ」

六本木店では外国人のインフルエンサーに協力を仰いで、お客の9割以上が外国人となっている。アジア系のファミリーが多い。
筆者撮影
六本木店では外国人のインフルエンサーに協力を仰いで、お客の9割以上が外国人となっている。アジア系のファミリーが多い。

「ディナーを17時オープンにしたのは、晩御飯をつくるのが面倒だと考えたお母さんがテイクアウトでうなぎを買いにきてくれたらいいな、と考えたから。お店で食べる人は18時ごろからやってきて、20時過ぎにはうなぎを食べたいと思う人はやってこないだろうと」

このように「鰻の成瀬」が急成長できているのは、「うなぎが持つ根強い商品力」「職人不要でオペレーションが簡単」「出店するためのハードルが低い」という要因が挙げられる。

店を急ピッチ出店することができて、すぐに安定した営業状態を保つことができる要因となっている。

「自分の意思で加盟した」という責任が生まれる

「鰻の成瀬」では加盟店の募集はしていない。ホームページでも「フランチャイズ募集」ということをうたっていない。それでありながら加盟店が増え続けているのはなぜか。

「加盟される方のタイミングは、当社の問い合わせフォームに『鰻の成瀬では加盟店募集を行っていますか』という問い合わせをしてきて、『もし行っているのであれば是非加盟をさせていただきたいのですが』と、完全に仕上がった問い合わせをされる。そこで当社の状況を説明して引きの営業のスタンスで対応している」

「これによって、他責加盟店が発生しなくなる。他責とは、物事・結果の原因や責任が他社にあると思い、振る舞うこと。『鰻の成瀬』の場合は、自分で選択をして加盟したという認識となる。そこで加盟店との間には強い信頼関係ができていく。そして『よいFCがあるよ』と、新しい方を紹介してくださる」