煙は出さない、職人のスキルもいらない
うなぎ店は飲食業界では非常に参入障壁の高い業種だと言われている。一般的なうなぎ店は調理の際に煙やにおいが多く発生する「重飲食」に該当し、大家によっては入居を断られることもある。
また本格的なうなぎを提供しようとすると、長い年月をかけて職人の育成が必要となる。
鰻の成瀬ではそうしたハードルを徹底的に下げた。調理のための什器は煙が出ない仕組みになっていて、カフェや喫茶店などと同じ「軽飲食」でも通ることがある。
提供については、一次加工が済んだ状態で届くうなぎを仕込み作業として蒸しておいて、注文が入ったら専用の什器で焼いて提供するだけ。調理は職人の技が不要で、アルバイトでも可能である。
冒頭で紹介した張り紙に書かれた「メニューの絞り込み」や「現金会計のみ」についても、「キャッシュレスなどの仕組みを入れることで、加盟店に煩雑な仕事の負荷を与えないため」(山本氏)という。
こうしたノウハウは一番のポイントに挙げた「うなぎを低価格で提供すること」の秘訣でもある。うなぎ店を始めたいと思う人にとっては、FCとして加盟するメリットが大きい。
年商1億円の店舗も
1号店は、コロナ禍で経営不振になっていた山本氏の知人の居酒屋を従業員ごと引き継いだ形でオープンした。SNSで「うなぎ専門店を始めた」ことを発信したところ、それに興味を抱いた人が集まってきた。ここからFC展開につながっていった。
ちなみに、横浜店の年商は5000万円程度。「鰻の成瀬」の全体では真ん中くらいの位置にあるという。売上が高いところでは千葉店の「年商1億円超え」という例もある。店の家賃や規模などで異なるが、損益分岐点は月商200万円から250万円あたり。商品の原価率は40~45%、ロイヤリティは固定10万円に売上の4%をプラスした金額となっている。