トルーマンは妻への手紙で人種差別意識を露呈していた

世界支配への野望はともかく、トルーマンが強烈な印象を我々に与えるのは、やはりその人種差別的意識であろう。トルーマンは、ポツダムでイギリスのチャーチルと会談したときも、原爆投下後の国民に向けた声明でも、繰り返し、日本の真珠湾攻撃に言及している。

山我浩『原爆裁判 アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子』(毎日ワンズ)
山我浩『原爆裁判 アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子』(毎日ワンズ)

つまり彼は、何よりも真珠湾を攻撃した「輩」に懲罰を下したかったのである。真珠湾攻撃がトルーマンの復讐心をき立てたのは、それが道徳的に許されないものだったとか、米艦隊が壊滅してしまったからというよりも、自分たちより劣っているはずの日本人がそれに成功したからである。

若い頃トルーマンは、のちに妻となる女性ベスに送った手紙にこんなことを書いている。

「おじのウィルは、神は白砂で白人を造り、泥で黒人を造り、残ったものを投げたら、それが黄色人種になったといいます。おじはジャップが嫌いです。私も嫌いです。多分、人種的偏見なんでしょう。でも、私は黒人はアフリカに、黄色人種はアジアに、白人はヨーロッパとアメリカに暮らすべきだという意見を強く持っています」

トルーマンのとんでもない人種偏見が、欧米人の闊歩してきた世界・歴史に少し見直しが必要だと教えてくれているような気がする。

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