トルーマン大統領は「最も恐るべき爆弾」を使ったことを正当化

明らかな戦争犯罪を、避け得ない正当行為と言いくるめるようなトルーマン米大統領の原爆投下時の声明等々を読むとき、私たちの多くは、意外というより「やっぱり」と受け止め、どこかアメリカ軍および指導者の言動にかすかな納得感を抱いたのではないだろうか。

彼は日記に、「我々は世界史上最も恐るべき爆弾を発見した。それは伝説的なノアの方舟の後、ユーフラテス文明の世に予言された火炎地獄(ソドムとゴモラ)なのかもしれない」(ロナルド・シェイファー著『アメリカの日本空襲にモラルはあったか』)と記したように、自らの罪深い行為を古代文明に例を採ってまで、正当化しようとした。

アメリカ第33代大統領ハリー・S・トルーマン(在任1945~53年)、1947年
アメリカ第33代大統領ハリー・S・トルーマン(在任1945~53年)、1947年(写真=米国国立公文書記録管理局/PD US not renewed/Wikimedia Commons

有馬哲夫氏はその著『原爆・私たちは何も知らなかった』で、「戦争に勝つためなら、大量破壊兵器として使うので十分なのに、わざわざ大量殺戮兵器としての使い方を選んだ理由は、トルーマンとバーンズ国務長官が日本人に対して持っていた人種的偏見と、原爆で戦後の世界政治を牛耳ろうという野望以外に見当たりません」と述べている。

米キリスト教会連盟の非難に「日本人はけだもの」と反論

原爆投下の最高責任者として、前任のルーズベルトから引き継がれた、アメリカ人犠牲最少化という大義名分があったとしても、史上最大の最悪兵器を使用してしまったという罪の意識には、とらわれていたに違いない。

1945年8月9日、米キリスト教会連盟は、「トルーマン大統領閣下、多くのキリスト教徒は日本の都市への原爆投下に深く心を痛めております。それは不必要な無差別破壊行為であるからです。これは人類の将来にとって極めて危険な前例であり、日本国民には新型爆弾に関する事実を確認し、降伏条件を受け入れるのに十分な機会と時間が与えられるべきです」と非難する抗議電報をトルーマンに打った。

8月9日付電報でトルーマンは、「けだものと接するときはそれをけだものとして扱わなければなりません」と返信したが、彼はそのとき、自身がけだものになっていたのかもしれない。