「退職したい」依頼は5月だけで1800件
TOKYO FMの報道・情報センターの記者による独自の取材をお届けする「東京事件」のコーナー。今回は、後藤亮介記者が「退職代行サービス」が世間で求められている背景について調査をおこないました。
退職代行サービスとは、仕事を辞めたいと希望する人に代わって退職の意向を会社に伝え、退職に関する手続きを進めるサービスです。現在、日本では約100社の退職代行サービスを提供している会社があります。退職代行モームリを運営するアルバトロスの代表・谷本さんによると、退職代行サービスの利用者は1日あたり平均70件。5月の利用者は1800件の依頼がありました。
依頼者が退職代行サービスを利用する背景について、谷本さんは「実際に理由を聞いていると、退職代行を使ったほうがスムーズに退職できるなと思う案件が多くあります。(職場に)退職を言いづらいから利用される方ももちろんいらっしゃいますが、退職を拒まれたりすることから退職代行を利用される方もかなり多くいらっしゃいます」と説明します。
社長から「生命保険をかけて自殺をしろ」
日本の法律では、原則として労働者の退職の自由が認められています。会社側は退職の意思を退けることはできませんが、なかには退職届を受け取らずに破り捨てたり、頑なに拒否する企業があるため、退職代行サービスの利用に踏み切る依頼者もいます。
退職代行モームリでは、正社員の退職代行を2万円から引き受けています。「本来、退職というのはお金をかけずにできるものですから、退職代行に依頼してくる人は、退職したくてもできない、退職を言い出せないといった厳しい環境があるんだなと感じました」と後藤記者。
続けて、谷本さんから退職代行モームリの利用で特に印象に残っている事例について伺いました。
「最近、“生命保険をかけて自殺をしろ”と社長から言われている方からの依頼がありました。内容について確認しましたが、何回も言われているからどこで言われたのか覚えていないほど何度も言われていたそうです。そんなことを言う社長に対して、退職の意思を伝えられるかというと言えないですよね。それで当社に依頼が来たという形です」と谷本さんは言います。