高島屋、カスハラなら来店拒否も
TOKYO FMの報道・情報センターの記者による独自の取材をお届けする「東京事件」のコーナー。今回は、鈴木晶久記者が「カスタマーハラスメント」の最前線を調査しました。
嫌がらせやいじめを指す 「ハラスメント」は、「セクシャルハラスメント」や「パワーハラスメント」など、種類が多岐にわたります。今回取り上げる「カスハラ」は、顧客や取引先が立場を利用して店員らに暴力をふるったり、理不尽な要求をしたりする行為です。
ここ数年、カスハラは社会問題として取り上げられることが増えました。高島屋は7月、大手百貨店では初となるカスタマーハラスメントに対する基本方針をホームページ上で公開。客の行為をカスハラと判断した場合には、対応を打ち切って来店を断る場合もあると明記し、話題となりました。
カスハラと正当な苦情との線引きが難しいという意見もありますが、店員に土下座を強要する、感情まかせに怒鳴りつける、長い時間の対応を強いるといった行為は、一般的にカスハラとみなされます。今回、鈴木記者は実際にあったカスハラについて取材しました。
客がコーヒーのお代わりを要求した際、店員がカップの取っ手を手に持って注いだところ、客は「カップはトレーに置いたまま注ぐもんだろう!」と激昂。怒鳴られたことで店員は焦り手が震えてしまいました。そして店員がコーヒーをトレーにこぼすと、客は罵声を浴びせながら、熱いコーヒーの入ったカップが乗ったトレーを店員に投げつけたという事件がありました。
〈カスハラ被害を受けた店員の声〉
びっくりしました。言われたことの意味がわからなくて、怖かったというよりもずっと唖然としていました。お客様は神様と言いますが、それはこちら側が思うことです。我々は精一杯の接客をおこなうので、最低限の礼儀というか、対等な立場でいてほしいです。
クレジットカードを投げつけられ「何様のつもりだ」
カスハラの実態を取材すると、ここ数年、店員がささいなことで客に怒鳴られたり、何度も何度も謝れと長い時間言われることが多くなってきたという話がいくつもありました。労働組合の1つ「UAゼンセン」が、今年6月に発表したカスハラの実態調査の結果の一部を紹介します。
〈カスハラ・迷惑行為の例〉
・暴力型
セルフレジで会計が終わっていないのに客が帰ろうとしたので声をかけたら、クレジットカードを投げつけられ、「何様のつもりだ」と暴言を吐かれた。
・威嚇・脅迫型
「歯を食いしばれ」と言われ、殴ろうとしたり、車で轢こうとしてきた。
・時間拘束型
冬の屋外で2時間以上謝罪をさせられた。
カスハラは就業者に対する著しい迷惑行為であり、就業環境を害するものです。許容できる範囲を超えたカスハラは、犯罪行為に該当する場合もあります。