企業は「カスハラ対応マニュアル」を作成して終わりではない

カスハラに詳しい池内教授は、カスハラ対策で一番影響力があるのは企業側がどう対応するかだとしたうえで、従業員を保護する体制を整えることが重要だと話します。

〈企業側に求められるカスハラ対策〉
・カスハラ対応マニュアルの作成
・カスハラ被害を受けた従業員を組織全体がサポートする体制の構築
・カスハラ被害について相談しやすい窓口を設置、あるいは組織風土づくりをおこなう
・防犯カメラの設置
・警備会社との連携

「カスハラ対応マニュアルを作成して終わり」ではなく、その先が大切です。マニュアルを周知徹底して、誰がカスハラに遭っても落ち着いて同じような対応ができるようにすることが重要です。さらには、マニュアルを見直し、アップデートしていくことも必要だと池内教授は指摘しました。

東京都で全国初のカスハラ防止条例が制定予定

カスハラ対策は企業だけでなく、自治体でも新たな動きが出ています。今、東京都がカスハラ対策に乗り出しており、全国で初めてカスハラを防ぐ条例の制定を目指しています。

都の担当者に話を聞いたところ、「東京都はサービス業が多く、カスハラが起きがち。働く人を守るという意味で条例を作ることの意義は大きい」という意見がこれまでの会議で出ていたそうです。「条例化に向けて、スピード感をもって進めていくと担当者は話していました」と鈴木記者はコメントしました。

東京都ではカスハラ防止条例案についての内容を詰めていて、早ければ今年の秋に条例化されます。店舗だけでなく役所窓口など公的サービスを利用する人も対象とする基本的考え方を取りまとめ、条例罰則は設けない考えを示しています。東京都のホームページでは、「東京都カスタマーハラスメント防止条例(仮称)の基本的な考え方」が公開されています。意見の募集期間は8月19日(月)までです。(編集部註:すでに終了)

消費者一人ひとりの権利と同じように、働く人の権利を守ることも大切です。自分の振舞いがカスハラに該当しないか、今一度立ち止まって考えてみましょう。

当記事はTOKYO FMの報道番組「TOKYO NEWS RADIO~LIFE~」の内容をテキスト化したものです。TOKYO FMの報道・情報センターの記者による独自取材で、ニュースが生活にどのような影響を及ぼすのかを当事者目線で探ります。パーソナリティは村田睦と手島千尋が担当。放送日時:毎週土曜6:00~7:00。番組サイト
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