流血しながらガッツポーズしたトランプ氏
銃弾があと数センチずれていたら、世界は変わっていたかもしれない――。
演説中のトランプ氏に対し、20歳の男が放った銃弾による暗殺未遂事件。会場での一部始終を捉えた海外ニュースの映像をあらためて見てみると、トランプ前大統領は発砲音の直後、右耳を押さえ、周囲にいたシークレットサービス(USSS=アメリカ大統領警護隊)が一斉にトランプ前大統領を守るようにしゃがませ、盾になっていた。
その後、シークレットサービスが彼を取り囲んだ状態で車に乗り込ませた。トランプ氏は、右耳から流血しているが観客に向けて何度もガッツポーズをとっていた。
アメリカメディアの報道によれば、7月13日午後、アメリカのペンシルバニア州バトラーで演説中だった共和党のトランプ前大統領が銃撃され、右耳にけがを負った。犯人はシークレットサービスの狙撃チームによってすぐさま射殺されたという。
トランプ氏を狙ったのはその後、20歳の男と判明。演説会場のそばの建物の屋根からライフル銃のような自動小銃で狙ったとみられ、トランプ氏の登壇席から犯人が登った屋根の距離は約130mだったという。
暗殺犯に気づけなかったのは致命的ミス
その後、事件を受けて、シークレットサービスの長官が「この数十年で重大な失敗」と警護のミスを認め辞任。その強さを世界中に誇示していた、シークレットサービスの輝かしい経歴に傷がつくことになった。
今回の銃撃事件、世界最強と呼ばれるアメリカシークレットサービスはどのような警護を行っていたのか。国際ボディガードとして数多くの要人警護経験を持つ、民間ボディガード会社代表の小山内秀友さんは、こう説明する。
「通常、アメリカ大統領選候補者には選挙の120日前からシークレットサービスの護衛がつきますが、トランプ氏の場合は前大統領ということもあり、恐らく大統領を辞めた後もずっとシークレットサービスの警護がついていたはずです。
今回、ステージから130m程度しか離れていない建物に、ライフル銃を持った人物が容易に近づき、屋上に上がれてしまったことや対狙撃チームを設置し、かつ見通しの良いロケーションであったにもかかわらず、130m程度しか離れていない建物の屋上からライフル銃で狙ってきている人物に気づくのが遅れたのは、シークレットサービスのミスであったと思われます」