いつの間にか「怒り」は消えていく

以前、とあるセミナーで「地方議員の危機時における『べからず集』と『すべき集』を作成して、講義してほしい」と言われたことがあります。その際も、私には引き出しからあふれそうなほどたくさんの事例があるので、参考資料には事欠きませんでした。30分もかからずに10ページほどの資料が作成できたのを覚えています。その内容が具体的で面白かったらしく、妻からは「今までの文章の中で一番面白い」と言われてしまいました(笑)。

もっとも、最初のうちは記録しながら、その人からされた嫌なことを思い出して腹が立ってくるのも仕方ないと思います。

実際、私も心のコントロール力が不十分な時は、「ちくしょう、いつか仕返ししてやる。倍返しだ!」などと、長く尾を引くことがありました。

しかし、これは嫌味でも何でもなく、今では「べからず集」に掲載されている方々(べからず先生方)と出会えたことを心の底から感謝しています。

理不尽や困難とは戦わず、受け入れる

ちなみに、先ほど「愚痴は避けるように」と述べましたが、この「べからず集」で楽しみながら集めた記録に関しては、他の人に話してもいいと思います(あくまで「こういう人がいて、こんなことをされた」という一般論としてです。個人攻撃するような話し方はやめましょう)。

みなさんが楽しそうに話すなら、それは愚痴(=聞き手にマイナスのエネルギーを与える話)ではありません。気軽に聞ける「楽しい話」です。

実際、私もこうして本書の“ネタ”にさせていただいています。

ポイントはやはり「プレッシャーや困難とは戦わない(真正面からぶつからない)」ことです。

小川清史『どんな逆境でも、最高のパフォーマンスを発揮する 心を「道具化」する技術』(ワニブックス)
小川清史『どんな逆境でも、最高のパフォーマンスを発揮する 心を「道具化」する技術』(ワニブックス)

このパワハラ上司の例も同じです。

理不尽な状況や困難な状況に陥ったからといって「自分がこんな目に遭うのはおかしい。理不尽だ。神も仏もないのか」とあがけば、あがくほど苦しくなります。

いっそのこと、今ある状況(現象)を受け入れてみましょう。

「もう起きているからこの状況(現象)はどうしようもない」「では、ここからどうやって解決するかな」とその「理不尽」や「困難」からスタートしてみてください。意外と気が楽になります。スタートする前に悩むのではなく、状況を受け入れてそこからゲームをスタートする感覚です。

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