イライラやモヤモヤといった負の感情を解消するにはどうすればいいか。陸上自衛隊のレンジャー教官を務めた元陸将の小川清史さんは「私が実践しているのが、嫌な出来事をノートに『記録』することだ。書くだけでスッキリするし、次第にコレクションが増えていくのが楽しいという境地に達する」という――。

※本稿は、小川清史『どんな逆境でも、最高のパフォーマンスを発揮する 心を「道具化」する技術』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

女性社員にパワハラをする男性
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苦しみを乗り越える「心の切り替え」テクニック

人によってはこれまでの考え方や視点を少し変えるだけで、現在苦しんでいる状況から意外とすんなり抜け出せることがあります。

本稿ではそうした精神的な苦しみを乗り越えるためのヒントになりそうな「心の切り替え」テクニックをいくつか紹介していきます。

では、早速始めましょう。

例えば、理不尽なことばかり言ってきて、感情的に怒りをぶつけてくるようなパワハラ上司がいて困っているとします。しかも、微妙にパワハラとしての決定打がなく会社に訴えても改善が期待できないような状況で、生活の都合上、仕事も辞めるわけにはいかない(あるいはその会社で上を目指しており、将来実現したいことがあるので辞めたくない)。

みなさんならこの状況にどう対応するでしょうか。

できるだけリアルに想像してみてください。

惨状を予測・反芻することでショックが和らぐ

いま現在みなさんの周りにそうした「どうしてもかかわらなければいけない困った人間」はいないかもしれませんが、生きている以上いつ何時こうしたパワハラ上司の例と似たような状況に陥るかはわかりません。

そのための「心の準備」をしておくことは、私の経験上、とても大切なことだと“断言”できます。

自衛隊では、隊員たちがPTSDを発症する(あるいはそれに近いような精神状態になる)ような過酷な災害現場に遭遇することが何度かありました。

そのような現場に派遣される時、私は、現場に到着しても動揺しないよう、予想される惨状を頭の中で繰り返し繰り返しイメージしていました。

言うなれば、イメージトレーニングです。

一緒に行動する部下たちとも、その現場の想像図を共有するようにしていました。

このように現場の惨状を事前に予測して頭の中で反芻したことは、精神的なショックを和らげる効果が大いにあったと思います。

そういう経験を何度か繰り返していくうちに、私は、自分がひどい目にあった状態をイメージして、それを乗り越えるには、どういう考え方、認識、心のあり様でいればよいかをシミュレーションしてから、事に臨むようになりました。