「冷静な第三者」に頼れるなら頼ろう

大切なのは、他人がどうこうではなく「自分がどういう人間になるか」です。

それを忘れて、他人にうらみを持ち続けるようなことばかり考えてしまうのは前述のマイナスのサイクルを生み出すだけなのでやめておきましょう。そもそもうらみを持つということは、目の前にいないにもかかわらずその他人から悪い影響を受け続けていることとなり、自分の心が受けるダメージもだんだんと大きくなります。

誤解のないようにお断りしておきますが、私は別に「自分の悩みを他人に相談するな」と言っているわけではありません。

あくまでもこれは「八方塞がりの状況」に対するシミュレーションです。

現実に「八方塞がり」ではない状況なら、社内その他のハラスメント相談窓口でも、信頼できる他の上司でも、弁護士でも、それこそ活用できるものは何でも最大限活用して窮地を乗り越えてください。転職が可能かどうかも含めて、あらゆるオプションを排除しないようにすべきです。

実は選択肢がたくさんあるのに、精神的に追い込まれてそれが見えていない状態にだけはならないように注意しましょう。

「冷静な第三者」に相談して意見を求めることは、愚痴でも“逃げ”でもありません。

お勧めなのが「嫌なことを記録する」

このパワハラ上司の例に限らず、誰かに嫌な目に遭わされたら、どうしても精神的に辛いと思います。

そのストレスに対抗しようとするのではなく、まずは精神的な辛さを自覚して受け入れ、どうやったらその嫌な気持ちを引きはがせるか、どうやったら振り切れるかを考えましょう。

そこで、私がお勧めする方法は「記録」です。

書き方は基本的に自由ですが、まずは、「自分が受けた嫌なことは何だったのか」「それに対して自分はどのように感じたのか」を明瞭に認識し、客観的な記述(他人事のような気持ち)でそれをノート等に記録してください。

こうして書くだけでもそれなりにスッキリするのですが、数が増えてくると、今度はバリエーションが欲しくなります。

そうなると、もはや「コレクター」です。

激しく罵倒された時でさえ「おっ、今日はいつもと違うパターンの理不尽な怒り方をされたな」と冷静に受け止めることができて、むしろ家に帰ってそれを記録するのが楽しみになります。その境地に達すると、自然とその上司に対するストレスも軽減されます。

ノートに書く女性
写真=iStock.com/miya227
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