「おじさんの遅刻」を1万人もの人が見てくれた

彼女が言うには、世の中の人が興味を抱くのは「他の人が何をしているのか」ということ。例えば、朝起きたばかりの顔を見せるようなもののほうがよほど関心を持ってもらえると言うのです。

あるとき、私は大寝坊してイベントに大幅に遅刻するという失敗をやらかしてしまいました。そのとき、焦りながら現場に向かう途中、ふと彼女の助言を思い出し、あわてふためく自分を撮影し、その様子をInstagramとX(旧Twitter)に投稿しました。

結果、1万人もの人たちがその動画を見てくれることになったのです。

「おじさんの遅刻」という、ある意味どうでもいい動画を、これほど多くの人たちが見てくれるという状況はなんとも不可解ですが、現実に起こっています。

腕時計をチェックするビジネスマン
写真=iStock.com/Ridofranz
「おじさんの遅刻」を1万人もの人が見てくれた(※写真はイメージです)

SNSの文脈に合わせた言葉づかいを

その驚くべき経験をして以来、Xを投稿するときは事前に、部下の花子(20代)に添削してもらうようになりました。

エステー時代は役員だった私が、一般職の社員に添削を受けるというのは一昔前には考えられない光景だと思います。

「もっと言い回しを柔らかくして」
「ちょっとまわりくどい」

と、びしばし問題点を指摘され、「やば! 昭和! 爺さんくさ!」と厳しく叱咤激励されます。

でも、この感覚に素直に従うことで、Xの拡散力は格段に上がります。確実に「いいね」を押される数が数倍に増えるんです。

鹿毛康司『無双の仕事術』(クロスメディア・パブリッシング)
鹿毛康司『無双の仕事術』(クロスメディア・パブリッシング)

私たちがこれまで学校で教わった文章力や、入社後に知ったビジネス文書の作成スキルも、それはそれで重要な財産です。

他方、SNSではSNSの文脈に沿った言葉使いが大切です。日頃、SNSに親しみ、使い慣れている人たちに聞くのが近道なのです。

例えば、XやInstagramで私がよく使うハッシュタグは「#ウッカリ」。これは前述の花子が、私がよく道を間違えたり、ものを忘れたりするのを見て、「使ったほうがいいよ」と教えてくれたものです。

親近感があって、皆さんに喜んでもらえる、お気に入りのハッシュタグです。

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