リアルを共有するアプリ「BeReal」に若者が熱中している。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「映えるSNSとして普及したInstagramの逆張りコンセプトとゲーム性が人気の秘訣だ。一方で、時間や場所を選ばず撮影して投稿する、通知が気になって集中力が低下するといった問題も表面化している」という――。

生徒が校内でこっそり撮影している

講演に行った複数の高校で、先生から「今、一番問題になっているのはBeReal」と聞いた。「どうやら授業中にこっそり撮っている生徒がいるようで……講演内で取り上げて注意してください」

ある高校では、スマホは持ち込めるが、校内で使用するには板書の撮影などでも必ず許可が必要だ。無許可での撮影がわかると、処罰対象となってしまう。そのため、勝手に撮影する生徒はいないはずなのに、どうやら撮っていた生徒がいるらしい、と先生の耳に届いたという。

「他の生徒が映り込んだとか、こっそり撮っているらしいという話も聞いています。なぜそんなリスクを犯してまで撮ってしまうのか……」。先生は眉をひそめる。

講演内で利用率を聞いてみたところ、全体の3割弱が手を挙げた。すでに高校生の間でBeRealが流行していることは間違いないだろう。

「ビーリアルじゃなくて、ビーリールですよ」と言っていた生徒がいる。正式名称は“ビーリアル”だが、アプリストアの説明が“ビーリール”となっていた時期があり、今もそのように呼ばれることがある。つまりその生徒は、その頃からのユーザーの可能性があるということだ。

「撮らなければ見られない」が逆に楽しい

BeRealは、2020年にフランスで誕生した写真共有SNSだ。アクティブユーザー数は2300万人を超え、「映えない系」SNSとして知られている。

アプリストアのBeRealの紹介
アプリストアのBeRealの紹介(筆者提供)

ランダムに来る通知から2分以内に写真を投稿しなければならず、保存していた写真は使えず、写真には加工もできない。インカメラとアウトカメラの両方で同時に撮影されるため、その時いる場所だけでなく、撮影者も映ることになる。つまり、アプリでつながっていたら、相手のすっぴんや普段の姿を見る可能性があるのだ。

自分が投稿するまで、友達の投稿はぼかしが入った状態となり見られないため、投稿が見たい若者たちは必然的に撮影しなければならなくなる。

遅れても投稿できないわけではないが、制限時間からどれくらい遅れたかが表示されてしまう。逆に2分以内に投稿できれば、その日はさらに2回、好きなタイミングで投稿することができるので、なんとか間に合わせたいと考える。