擬似的な自己開示効果で親しくなれる
大学生のメインSNSはInstagramだ。X(旧Twitter)で同じ大学の新入生同士でつながり、会って親しくなった後は、親しい友人とInstagramの鍵アカ(鍵アカウント)でつながり、ストーリーズやDMなどで交流するのが一般的だ。
しかしInstagramは、基本的に映える写真を投稿する場であり、リアルタイムの素顔はストーリーズでしか見ることができない。そのストーリーズでさえ加工されているので、本当の姿を見せ合っているわけではない。
ところが、BeRealは強制的に日常の姿を見せ合える。キラキラした日常ではなく、生活感あふれる部屋や、バイト先での姿、加工しない素顔が見られる。Instagramに慣れた世代に彼らにとって、決して見ることができなかった貴重な日常が見せ合え、親しみを覚えることができるのだ。
自己開示効果というものがある。自分のプライベートや考えなどを自己開示することで、互いの心の距離が縮まりやすくなるという心理効果だ。互いに受け入れ合い、信頼関係の構築につながりやすくなる効果がある。学生たちは、BeRealの利用で擬似的な自己開示効果を得られているのではないだろうか。
自分を見せ合うことを恐れ、複数のアカウントで顔を使い分けてきた世代にとって、加工もせず、顔を使い分けないで、素顔や日常を見せ合うことには、大いなる価値があると考えられる。Instagramとバランスを取る意味で、若者におけるBeReal人気はまだまだ続くのではないだろうか。