食べる量は増えているのに便量が減っている理由
腸活の基本はしっかり腸を動かすこと。そこで重要なのが「食物繊維」です。食物繊維と聞くと、お通じを良くする栄養素だと考えるのではないでしょうか。ちなみに、日本人の一日の便量はどのくらいだと思いますか?
詳しいデータはありませんが、一日に日本人がする便量は約200gと言われています。実際はもっと少なくて、一日80〜100gではないかと考えられています。
第2次世界大戦が終わったばかりの調査では、日本人の一日の便量は約300gでした。今と比べて3倍以上も多かったのです。
食べる量が減っているわけではありません。むしろ戦後すぐは、みんな飢えていました。現代人のほうが食べる総量は増えているのに、大便の量が減っています。
その理由は、食物繊維の摂取量が激減しているからと考えています。現代の日本人は、食物繊維がまったく足りていません。
今、推奨されている食物繊維の摂取量は女性で一日平均18g以上(男性は21g以上)です。しかし、実際は、10gくらいしか摂取できていません。戦前には平均30gの食物繊維を摂取していたと言われています。現代人の便量が3分の1に減ってしまったのは、食物繊維の不足が原因だということがよくわかると思います。
便は、食べ物の残りカスだけではありません。腸内細菌とその死骸も多く含まれています。食物繊維が腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整えるために欠かせない栄養素であることは、今では多くの人に知られています。
しかし、体には必要のない成分だと思われ、誰からも見向きされない不遇の時代があったのも事実です。2000年くらいから腸内細菌の研究が進み、とりわけ食物繊維が腸内細菌のエサになることがわかってきたことで、一気に注目が集まりだしました。